F-nameのブログ

はてなダイアリーから移行し、更に独自ドメイン化しました。

西洋音楽史第1回 #放送大学講義録

要するに日本人の耳は西洋音楽に毒されている?のであろうか。

 

西洋音楽史第1回 - F-nameのブログ

 

-----講義録始め-----

 

西洋音楽とは何か、そしてそれがなぜ重要なのかという問いについて考えるために、まずは音楽全体について考えてみましょう。西洋音楽は広義にはクラシック音楽を指しますが、その根底にある音楽理論と表現手法は、現在の日本音楽を含む世界中の音楽に大きな影響を与えています。つまり、今の日本の音楽は殆どが西洋音楽の発展形とも言えます。

音楽の概念とは何か、と問われた場合、その一部は音程や拍子、楽音など、西洋音楽の基本的な要素に由来します。例えば、我々が認識する「ドレミファソラシド」といった音階や「4分の拍子」というリズムの感覚は、いずれも西洋音楽が起源です。これらは規範的距離を保つことで、音楽的な調和を生み出します。

西洋音楽の一つの特徴として、「自然の音、つまりノイズを極度に嫌う」という思考があります。これは、音楽を「物音」ではなく「楽音」、つまり人工的に生成された音で構成するという理念から来ています。この自然音と楽音の区別は、西洋音楽の特有の発想と言えます。

さらに、時間の分節という概念も西洋音楽特有のものです。これは、時間を等しく分割し、それを音楽に統合するという考え方です。これに対して、非西洋起源の音楽、例えば尺八などでは時間を分節せず、一つの流れとして表現されることが多いです。

この分節された時間は、例えば「4分の4拍子」といった形で音楽に反映され、楽譜という形で具体化します。これにより、ハーモニー(和音)という考え方が生まれます。ハーモニーとは、事前に組み立てられた、正確な音程の中で協和する音のことを指します。

これらの西洋音楽の概念や発想は、五線譜をはじめとする楽譜の形成、コンサートホールの存在、そしてコンサートそのものという文化に大きな影響を与えました。19世紀以降、西洋の社会文化が広まり、近代化・ヨーロッパ化が進む中で、これらの概念や文化が全世界に広まりました。

日本においても、西洋音楽は大きな影響を与えてきました。鹿鳴館でのコンサートから、ピアニストやバイオリニストの育成、唱歌の教育に至るまで、日本人の音楽観、そして耳にとっての「音楽」とは何かという認識の形成に、西洋音楽は大きく寄与してきました。そのため、日本人の音楽の源流を探るとき、その一部は西洋音楽の影響という形で見つけることができます。