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西洋音楽史第2回 # 放送大学講義録

クラシック音楽のあらまし。背景も色々とあるし、現代に至る流れも。

 

西洋音楽史第2回 - F-nameのブログ

 

-----講義録始め-----

 

本日の講義は「西洋音楽史第2回」で、西欧音楽とクラシック音楽の違い、そしてそれらがどのように成立したかについて考察します。まず、西洋音楽とクラシック音楽の違いについてです。クラシック音楽は、せいぜい100年、200年、300年前のもので、古楽、クラシック、現代音楽というカテゴリーに分けられます。これらは、それぞれ前近代、近代、現代という時代背景を反映しています。一方、西洋音楽は9世紀の中世から成立し、その歴史はより長いです。

私たちがよく知る音楽家の多くは、19世紀生まれの作曲家で、その活動期間はフランス革命から第一次世界大戦までの「長い19世紀」に集中しています。この時代は、オーケストラや交響曲などのジャンルが発展し、コンサートが普及した時代でもあります。

次に、前近代、近代、現代という概念について考えてみましょう。近代は地続きで現代と繋がっており、クラシック音楽はこの近代の音楽と言えます。近代は現在完了の時制で、過去だけど現在に雰囲気が残っているという特徴があります。つまり、過去が現在に流れ込む連続性があります。

一方、古楽は過去形で、現在と過去が断絶しています。中世の音楽についてのイメージは不完全で、楽譜も不完全なため、考古学的な解読が必要となります。これは、恐竜の化石の断片を元に分析するようなことに似ています。古楽の演奏は、音楽における考古学とも言えます。

バッハからモーツアルトの時代は過度期で、近代の音楽としても展開できます。時代考証で当時の姿のままの演奏を再現することもありますし、近代の音楽も考古学的に再現を行なうこともあります。ただし、楽器は微妙なところで違ってくるため、考古学的再現には注意が必要です。

コンサートホールの普及は19世紀に入ってからで、美術館の音楽的なものがコンサートホールとなりました。これは音の展示学とも言えます。古楽は教会や宮殿で演奏されていましたが、音楽の前での完全な平等は実現していませんでした。それはある種の敷居の高さ、上流ブルジョア、社会のエリート層のサロンといった要素が関与していました。自由平等とは、高額納税者のみに選挙権があった時代を指します。

現代は大衆社会の時代で、第一次世界大戦後、極めて安価に音楽に触れる機会が増えました。全ての人が別け隔てなく音楽を聴ける時代になりましたが、前衛音楽はエリート性の維持に寄与しているとも言えます。

最後に、西洋音楽とは、西洋の全ての国の音楽ではないということを注意しておきましょう。西洋諸国でも限られてくる音楽があります。西洋社会の成立は800年のカール大帝の時代に遡り、主要な国としてはイタリア、フランス、ドイツが挙げられます。19世紀にはグローバル化・世界化が進み、帝国主義と深く関わりました。そして20世紀はアメリカの世紀とも言われ、覇権ヘゲモニーとしてアメリカ文化が世界中に広がりました。両大戦ともにアメリカの関与で終わらせることができ、大衆の時代としての20世紀には、エリート主義が色褪せる傾向にありました。