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子どもの人権をどうまもるのか第4回 #放送大学講義録

今回はテレビ授業を書き起こししてまとめた講義録である。分量がいつもより多い。

 

-----講義録始め-----

 

子供の人権に関する講義録

子供の声を聞き、その気持ちに寄り添う取り組みが必要です。子どもたちの声や意見を尊重し、子どもの権利が守られる社会の実現が求められています。

人権は全ての人に保証されるべきもので、子供にも当然あります。これを具体的に示すものが法律や制度です。第4回では、子どもの人権保障についての法律の体系や内容について学習します。

子供の人権とは、どのようなものでしょうか。子供にも1人の人間としての人権があります。2020年4月から児童虐待の防止等に関する法律が改正され、子供の体罰が禁止されました。

子供の人権を守るためには、制度と実践が協力し合う関係が大切です。法律に基づいて制度を作り、その制度を守る実践が必要です。

日本国内では、憲法が基盤となります。その上で、民法、刑法、児童福祉法、学校教育法などの法律が存在します。国際的には、子どもの権利条約があり、多くの国がこれを承認しています。

子どもの権利条約には、子供が自分の権利を行使する能動的権利と、大人に守られる受動的権利があります。虐待やいじめ、貧困などの問題は、大人が子供を守る受動的権利の範疇に入ります。

現在は、子供の権利の受動的権利だけでなく、能動的権利も保障する方向に進んでいます。子供の意見に真摯に耳を傾ける取り組みとして、チャイルドラインが存在します。これは、子供からの相談を受け付けるサービスで、全国で70の団体が連携して取り組んでいます。

子供たちの権利についての認識はどうかというと、多くの子供たちは自分たちの権利、特に子供の権利条約について知らないと感じています。これは大人の責任でもあり、子供たちが自分の意見や権利を行使する環境を整える必要があると考えています。

確かに、チャイルドライン愛知としても、子供たちからの相談を受ける中で、彼らが自分の権利を知らないことを強く感じています。私たちは安心して相談できる場を提供し、子供たちの悩みや問題を真摯に受け止める姿勢を持っています。

日本は子供の権利条約を批准しており、子供の権利に関する取り組みの状況を国際的に報告する義務があります。しかし、現状としては十分な取り組みが行われているとは言えません。

児童福祉法は戦後の1947年に制定され、以降、多くの改正が行われてきました。この法律には、児童相談所、福祉事務所、保健所などの機関や施設、専門家に関する規定があります。また、子供や家庭の福祉を守るための具体的な支援内容も定められています。

母子保健法もまた、児童福祉法から派生した重要な法律です。この法律では、妊娠、出産、乳幼児の健康に関する支援やサービスに関する規定が設けられています。これにより、子供や母親の健康と福祉の向上が図られています。

1942年の戦時中に導入された母子健康手帳は、乳幼児や妊産婦の死亡率を大きく減少させる効果がありました。時代が進むにつれて、この手帳にはさまざまな工夫が施されてきました。現在の母子健康手帳は、子供の妊娠から20歳になるまでの歴史を記録することができます。さらに、英語をはじめとする多言語版の手帳も存在しており、言語や文化の違いを超えて、健康に関する情報を伝える取り組みが行われています。

子供を育てるのは母親だけではなく、父親もその一部として関わっています。しかし、実際に妊娠や出産の経験がない父親にとって、子育ての具体的な悩みや必要な情報がわかりにくいこともあります。そうした父親たちのための支援として、愛知県では「子育てハンドブックお父さん大好き」という資料を提供しています。また、多くの自治体で、このような情報をホームページ上で公開しています。

1964年に制定された「母子福祉法」は、後に「母子及び父子福祉法」という名称に変更されました。この法律は、母子家庭だけでなく、父子家庭やその他の1人親家庭にも支援を提供することを目的としています。2014年の法改正により、これまで母子家庭のみを対象としていた多くの支援が、父子家庭にも提供されるようになりました。この法律に基づく事業として、相談支援や資金の貸付、日常生活支援事業などが行われています。

児童手当法や児童扶養手当法、特別児童扶養手当等の支給に関する法律など、子供や家庭を支援するためのさまざまな法律が存在しています。これらの法律は、子供たちの健やかな成長や家庭の経済的安定を目的としており、時代の変化や社会のニーズに応じて改正が繰り返されてきました。

2000年に施行された「児童虐待の防止等に関する法律」は、日本の子育てや子供への関わり方に大きな変化をもたらしました。この法律により、児童虐待の具体的な定義が初めて日本に導入されました。虐待の定義や通告に関する啓発活動を通じて、日本国民の意識改革が促されてきました。現在も、虐待を未然に防ぐための取り組みや、虐待が発生した場合の早期発見・対応が行われています。

子供の人権は、法律や制度、実践によって支えられています。これらの制度や実践は、行政や実践者だけでなく、私たち国民一人一人の課題として捉えられるべきです。