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犯罪不安の背景🔍5つの影響要因 生活リスクマネジメント第10回(その3) #放送大学講義録

「デモグラフィック要因」というのは聞きなれないが重要なワードなのだろう。

 

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この期間に治安は本当に悪化したのか。つまり、客観リスクは実際に大きくなったのか。ここで、客観リスクの推移を確認してみましょう。印刷教材では図10にその推移が示されています。ご覧ください。

この図によると、2002年から2010年にかけて、刑法犯認知件数は順調に減少しています。また、検挙率や犯罪被害者数に関しても、状況は向上しています。しかし、客観的な数値と市民の主観的な認識との間には、大きな隔たりがあることがわかります。

では、なぜ多くの人々が犯罪への不安を感じるのか。次に、犯罪不安の要因及びその背景について考察します。

犯罪不安に影響する要因として、以下の5つが指摘されています:デモグラフィック要因、都市規模犯罪被害、秩序、団体の認知、そして近隣での人間関係。デモグラフィック要因として、性別、年齢、教育、収入、同居家族などが犯罪不安に影響を及ぼすと考えられています。一般的に、自分自身の脆弱性や犯罪対象としての魅力が高いと感じると、犯罪への不安が増大するとされます。特に、女性の犯罪不安は男性よりも高いと、多くの研究で示されています。私が2012年に実施した調査でも、同じ傾向が確認されました。

犯罪不安についての質問「日々の生活で犯罪に巻き込まれることにどれくらい不安ですか」という質問に、女性は男性よりも統計的に有意に不安を感じると回答する傾向がありました。また、被害の広さの認知に関しても、女性の感じる程度は高い。この傾向は、女性の身体的な脆弱性や、特定の犯罪(性犯罪やひったくりなど)の存在に起因していると考えられます。

その他のデモグラフィック要因として、教育や収入の高さは犯罪不安の低下に関連しているとされます。高い社会経済的地位の人々は、犯罪被害を防ぐための手段や資源を持っているため、犯罪不安が低いと考えられます。また、家族構成も犯罪不安に影響します。自分よりも家族が犯罪被害に遭うことを不安に感じる人が多く、特に同居している家族に小学生以下の子供がいる場合、その不安はさらに大きくなります。