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担保(民法第10回)#放送大学講義録

現行法とは異なる(特に条文)かもしれないので注意のこと。

 

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ーーーーー講義録始めーーーーー

 

担保とは、債務が履行されない場合に備えて、債権者が優先的に弁済を受けられるように設定される権利のことです。 現代社会において、担保は信用取引の重要な部分を担っています。 物的担保とは、物や権利を担保とするものを指します。 人的担保とは、他の人が債務の履行を保証することを指します。

物的担保には、「約定担保物権」と「法定担保物権」の二種類があります。 約定担保物権は、当事者間の約定に基づいて成立する担保物権です。 この中には、質権や抵当権などが含まれます。 質権は、動産質、不動産質、権利質といった形態があります。 これは、要物契約に基づき、目的物の引渡しと占有が必要です。 質権には留置的効力と優先弁済的効力があり、民法349条にその規定があります。

抵当権は、不動産を対象とする約定担保物権です。 抵当権の実行までは、抵当物の使用と収益が可能です。 抵当権の対象範囲には、付加一体物や果実が含まれ、民法371条で規定されています。 抵当権の実行には、賃料からの回収や第三者取得者の保護(民法378条)が関係します。 法定地上権は、土地の利用権に関連し、建物の収去が必要とされることがあります(民法388条)。 根抵当権は、事業者間の反復継続的な取引において、一定の枠内で複数の債権に対して一つの抵当権を設定するものです(民法398条の2以下)。

法定担保物権には、留置権や先取特権があります。 留置権は、設定契約がなくても成立します。 先取特権は、特定の債権に対して優先する権利で、民法306条以下にその規定があります。 動産の先取特権に関しては、民法311条以下に規定があります。

非典型担保には、譲渡担保が含まれます。 譲渡担保は、確定的取得を伴い、不動産に限らず、動産や債権も対象になります。 これには、占有改定や動産の譲渡登記などの要素が含まれます。

人的担保には、保証契約が関連します。 保証契約には、保証人が債務の履行を保証し、補充性や抗弁権(催告の抗弁権や検索の抗弁権など)が含まれます(民法452条、453条)。 連帯保証では、抗弁権が認められません。 2004年の改正では、保証人の保護が強化され、保証契約の形式や書面性の要求、情報提供の義務付けが規定されました。

相殺は、債務と債権を相互に消滅させる手段で、民法505条以下に規定されています。 相殺は、簡易な決済手段であり、担保的機能も持っています。