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急増するうつ病:人間の孤独とコミュニティの視点から(1)♯放送大学講義録

メンタルヘルスの問題は深刻だと思う。

 

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-----講義録始め-----

 

学際的な観点から鬱病について考察します。なぜ鬱病が増加しているのでしょうか?精神疾患は現代の最大の健康問題の一つであり、その中でも鬱病は特に代表的です。過去20年間で患者数はほぼ3倍に増加しています。医療機関の数も増え、より身近に受診できるようになりました。これにより、診断される件数が増えています。

鬱病の病態にも変化が見られます。DSM(精神疾患の診断と統計マニュアル)の影響により、診断基準が以前よりも広範に適用されています。例えば、精神的に折れるタイプの状態も、鬱病と診断されることがあります。これは、かつては主に内面的に沈んだ状態を指していました。また、過剰かつ慢性的な悲哀も、単なる抑うつ反応ではなく鬱病と診断されるようになりました。このように、鬱病と他の状態との区別が曖昧になっています。

ストレス性の鬱病が増加している理由には、コミュニティの変化が関係しています。支え合う社会のネットワークが変化しており、かつてのような密接な共同体は減少しています。職場や家族内でのサポートも以前ほどではありません。助け手が不足し、経験豊かな長老的な存在も減少しています。

以上の点から、鬱病の増加は医療へのアクセス向上、診断基準の変化、社会的なサポートの変容など、複数の要因が絡み合っていることが分かります。治療には休養や投薬だけでなく、環境の変化も必要とされています。