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ボールビーのアタッチメント理論解説:危機時に特定個体への近接で安全感を得る行動、フェルトセキュリティとシステム論を探究。(発達心理学特論第6回)♯放送大学講義録

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これらのすべての理論を統合して作られたのが、ボールビーによるアタッチメント理論です。

アタッチメントとは「くっつく」という意味で、日本語では「愛着」と訳されます。この理論は、ハーローやローレンツの動物研究からも影響を受けており、人間に限らず、全ての生き物に適用可能な理論と考えられています。アタッチメントは、危機的状況に直面したり、危機を予知し、恐れや不安が強く喚起された際に、特定の他個体に近づくことで主観的な安全感を回復、維持しようとする行動として定義されます。

このような危機の状況では、他個体への接近を維持することが、生き延びるために自然に備わった特性です。近づくこと、そしてその近くにいる状態を維持することによって、主観的な安全感を感じることができます。これは「フェルトセキュリティ」と呼ばれ、安心感や自分が大丈夫だと感じる感覚を指します。

アタッチメント理論はシステム論とも言われます。これは、動的な全体として機能するものです。理論によると、個体は安全基地にいることで安心のエネルギーを補給され、そのエネルギーを使って外の世界を探索に出ます。基地から離れると不安が増し、安心のエネルギーが消費されますが、基地に戻ることで再びエネルギーを補給し、安心を取り戻します。このアタッチメントシステムは、生涯にわたって機能し続けるものです。