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認知症診断と心理検査の重要性を解説。アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症の除外診断、診断告知の配慮について詳述し、患者と家族の支援を強調します。(保健医療心理学特論第8回)♯放送大学講義録

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ここでは、物忘れ外来を受診する際に、心理士が心理検査を実施します。この心理検査でうまく答えられないことは、患者本人に認知機能低下を突きつけ、時として簡単に回復することが難しいショックを与えることもあります。そのため、心理士は本人の視聴覚や心理状態に十分配慮した上で、適切な面接法と観察法に基づいて本人の能力を引き出し、神経心理学的な知見に基づいて、障害された機能と保たれている機能を等しく検討することが必要です。

診断は、認知症医療の入口における大切な場面の一つです。しかし、本人や家族は認知症に対して自立を奪われるという否定的なイメージを持っていることが多く、認知症と診断された事実を受け入れることは容易ではありません。

現在の医療ではまだ治癒が難しい認知症と診断することの意義や配慮について、認知症診療の豊富な経験を持つ先生にお話を伺いました。

「治癒が望めない認知症として、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症、前頭側頭型認知症といった神経変性疾患があります。しかし、それ以外にも、水頭症や甲状腺機能低下症による認知症など、医療的な処置で回復する可能性のある認知症性疾患もあります。そのため、まずはこれらをきちんと除外診断することが重要です。

例えば、アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症では将来的に症状が大きく異なります。レビー小体型認知症ではパーキンソン症状が出るため、体のリハビリを早期に始めることも考えられます。認知症の原因疾患によって出てくる症状や進行のスピード、必要なサービスやサポートも異なるため、予測して対応することが重要です。」

診断告知を行う際には、どのような配慮が必要でしょうか。

「「「「早期診断が早期絶望になってはいけない」ということは、よく話し合われています。診断の説明は、単に認知症という病気やアルツハイマーという病気が進行していくことを伝えるのではありません。それはご家族にも理解していただくべきことですが、高齢の方には、長生きしたことで脳にも老いが来たというような説明をすることが多いです。

現在困っていることは、本人がサボっているわけでも怠けているわけでもなく、誰しも避けて通れない道であり、皆でサポートしていくという形で希望を持てるような説明を心がけています。診断がつくことで、ご本人も心構えを持ち、周囲の理解が深まることが非常に重要です。」