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終末期の認知症ケアでは、日常生活動作(BADL)の全介助が必要となり、嚥下障害や誤嚥性肺炎が課題。意思決定支援と家族支援の重要性を強調し、心理士の役割について解説します。(保健医療心理学特論第8回)♯放送大学講義録

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終末期には大脳皮質の機能が広く失われ、日常生活動作(BADL)は全介助となります。嚥下障害が進行し、誤嚥性肺炎を繰り返すようになると終末期と判断されます。

本人の意思を確認することも困難になり、経口摂取ができなくなった時の栄養法やその他の医療処置、また残された時間をどう過ごすのかといったことが課題となります。心理士もチームの一員として、看取りを含めた家族支援に携わっています。

身体合併症のある認知症患者の臨床や終末期の意思決定支援について研究している専門家に、終末期の課題と支援についてお話を伺いました。

「最も難しいと感じるのは、リハビリテーションをすれば回復するのではないかとご家族が期待していることです。それは当然のことですが、いつまでリハビリを続けるのか、いつまで回復を目標にするのかを決められないまま、本当に終末期と呼べる状態に至ることがあります。今が終末期だということを家族と共有するのは非常に難しいことです。

終末期には、言葉を使って現状を表現することが難しくなりますが、それが意思がないということではありません。その本人の意思をどのように捉えるかが重要です。」

「意思という言葉をどう捉えるかにもよりますが、大きな意思や目標を持つ時期は少ないと思います。ですから、尋ねる側が期待する答えはなかなか得られないかもしれません。しかし、感情や気持ちという形で意思は存在し続けます。言葉としてではなくても、本人の意思を受け取ることができると思います。ただし、解釈を常に検証し、正しいかどうかを確認することが必要です。」

「例えば、食べられないことに関して、人工栄養をしないことが自然だという意見がありますが、尿が出なくなった時にはどうするのかという問題があります。カテーテルを入れるかどうかの選択もあります。内科の先生は迷わずカテーテルを入れるでしょう。尿が出ることが自然だからです。しかし、ご家族にとっては自然に見えない場合もあります。実際に、お腹が膨れていてご本人が落ち着かない原因の一つとしてカテーテルを入れたいと説明した時、ご家族から強い抵抗を受けたことがあります。」

「ご本人が静かに寝ているイメージを共有していたご家族に対し、ご本人の体が苦痛を感じている状況で、どちらを選ぶのかを話し合う必要がありました。話し合いを重ね、その時その時に決断をしていくことが重要です。」