国際法を学ぶ上で最初の難問かもしれない。
-----講義録始め-----
国際法と国内法の関係
国際法と国内法の関係は、法学の中でも最も理解に苦しむ部分とされ、衒学的な議論が繰り広げられてきた。この関係性は、歴史的論争としても知られ、妥当性の連関や歴史的意義を持つ。
二元論と一元論
「国際法と国内法」の関係を考える上で、トリーペルが提唱した「二元論」という考え方がある。これは、国際法と国内法が2つの異なる側面を持ち、規律する範囲や法源が異なるとする考え方である。一方で「一元論」は、国際法と国内法を1つの統一的な法秩序の中で考えるもので、国家単独の意思に基づくものとされる。この一元論の中でも、国内法が国際法に優位する考え方と、国際法が優位であるとする考え方が存在し、これが最大の論争点の1つとなっている。
調整理論と当為理論
さらに、国家管轄権の問題や、国際法秩序における国内法と、国内法秩序における国際法、そして条約と慣習法の関係も重要な議論となる。
国際法秩序における国内法
国際法の観点から、国内法援用禁止の原則が存在する。これは、国家が国際法上の責任を問われる際、国内法を理由にしてその責任を逃れることができないという原則である。国内法は国際法の裁判準則として用いられることはなく、国際法の観点からは単なる事実に過ぎない。国内的には有効であるものの、他国に対しては主張することができない。この問題は、外交的庇護権の問題とも関連している。
国内法秩序における国際法
国際法が国内法としてどのような効力を持つかは、直接適用の可能性や、国内法上の序列などが考慮される。条約や慣習国際法は、国内法上の義務として存在し、その方式は各国によって異なる。条約は、その条文そのものが国内的効力を持つ場合や、国内法に変換する必要がある場合がある。慣習国際法は、特段の措置をとることなく国内法としての効力を持つことが一般的である。
裁判と国際法
裁判においては、国際法の直接適用の可能性や、私人と国家機関、私人間の関係が考慮される。例えば、人権条約のようなものは、国家ごとに異なる基準で直接適用の有無が判断される。国際法の規範内容が明確であるかどうか、例えばウイーン売買条約や人権条約などが考慮される。
国内的効力順位
国際法の国内的効力の順位は、各国が自由に設定することができる。条約は一般的に法律よりも上位に位置づけられるが、憲法との関係は複雑である。一般的には憲法が優位であり、条約も違憲審査の対象となることがある。慣習国際法の場合、日本では憲法が優位とされている。批准の際には、国際法に違反していないかの調査が徹底的に行われる。