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企業社会と家族(リスク社会のライフデザイン第5回)

日本的雇用慣行は何処まで生き残っているのだろうか?新卒を大量に採用する風習が無くならないといけないのだろうか。

 

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-----講義録始め-----

 

企業社会と家族の関係、その変遷と現代の問題


1. 日本的雇用慣行と家族の関係

日本の雇用慣行は、長期的雇用や年功序列を特徴としています。この雇用慣行は、主に男性を対象としており、三食昼寝付きの生活や専業主婦という概念が根付いていました。男性が安定した収入を持つことは、生きる手段そのものとされ、女性は家庭を守る役割が期待されていました。この「男は外、女は内」という性別分業意識は、高度成長期の日本社会において基盤となっていました。

2. 企業と家族の変遷

日本の経済は基本的に右肩上がりの成長を続けてきましたが、企業内では「スクラップアンドビルド」や配置転換、出向、転籍などの動きが活発になり、個人間の競争が激化しました。この結果、男性はますます企業に忠誠を尽くすようになり、家族へのcommitmentは低下しました。この長時間労働と企業への強いコミットメントは、多くの男性を精神的に疲弊させ、過労死や突然死の原因となりました。また、家庭内では夫婦関係に亀裂が入り、家庭内離婚が増加しました。

3. 社会的な取り組みと家族の変化

1985年には主婦年金が創設され、保険料の負担は被保険者に求められました。これは内助の功を評価するものであり、続いて1986年には配偶者特別控除が導入されました。これらの制度は、標準的家族モデルを前提としており、性別分業意識を強化していました。

4. 現代の企業社会と家族

現代の日本では、かつての企業人間という体制の維持は困難となってきています。非正規や若年層の雇用が増え、リストラの恐れや自己責任の強調が進んでいます。団塊ジュニア世代は、遅い結婚や地元意識の強さを特徴とし、団塊世代のような会社人間とは異なる価値観を持っています。現代の妻は、我慢しない姿勢を持ち、晩産化や晩婚化の傾向が強まっています。しかし、長時間労働の文化は変わっておらず、夫が家庭をサポートする意識が求められています。この中で、夫が家庭をサポートし、妻を休ませるための「refresh」の意識が強まってきています。


企業社会と家族の関係は、時代とともに大きく変遷してきました。過去の伝統や価値観から現代の新しい形へと、その関係性は進化し続けています。