リスク処理ではなかなか事前的に対応できないでいる。
-----講義録始め-----
さて、リスク処理の段階についてお話します。最初の2段階を経て、受け入れがたいリスクがある場合、具体的な処理を施すことでそのリスクを縮小します。この手法の選択は第3段階です。
リスク処理は事前的管理と事後的管理の2つに大別できます。事前的管理は損害が生じる前に対策を講じるもので、リスクの回避、防止、軽減、分散などの技術が含まれます。例えば、リスクの回避は飛行機事故を避けるために飛行機に乗らない方法です。しかし、全てを回避するのは難しく、例として外出を避けることは実生活では難しい。また、一つのリスクを回避することで新たなリスクが生じることも考えられます。
そのため、他の手法としてリスクの防止や軽減が考えられます。リスクの防止は火の元を確認することなど、リスクの頻度を下げる方法です。リスクの軽減は、例えばスプリンクラーや消火器を設置することでリスクの影響を小さくする手法です。さらに、リスクの分散は資産を分散保有することなど、エクスポージャを分ける手法です。
事後的管理は事前対策にも関わらず損害が生じた場合の対策で、リスクの保有と移転が主な技術として用いられます。リスクの保有には2つのタイプ、消極的保有と積極的保有があります。消極的保有はリスクを無意識に保有するもので、避けるべきです。一方、積極的保有はリスクを理解した上で意識的に保有するものです。
リスクの移転は、損害の負担を他者と共有することで、主に保険が利用されます。保険を利用することで、リスクに関する損害の負担を外部の資源で対応することが可能です。