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研究における倫理的配慮(ヘルスリサーチの方法論第12回)(2)#放送大学講義録

インフォームドコンセント無き医療は例外的なものになっている。

 

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-----講義録始め-----

 

インフォームド・コンセントの原則: インフォームド・コンセントは、医学研究において被験者に十分な情報を提供し、その上で自らの意思で参加するかどうかを決定させる重要なプロセスです。これは1947年のニュルンベルク綱領に起源を持ち、国際軍事法廷においてジェノサイドや人道に対する罪、人体実験を裁く際の基準とされました。この綱領は、実験が法律と倫理に違反しないようにするため、被験者の同意を必要とし、その前に研究者による詳細な説明が求められました。

歴史的背景: この原則は、第二次世界大戦中に陸軍が満州で行った人体実験(例えば、731部隊)などの歴史的事例に基づいています。これらの実験はインフォ東京裁判では訴追されず、後に外部からの圧力により、医療過誤の問題から法理として形成されました。被験者と患者の権利を保護する原理の形成は、社会の要請に応えるものでした。

医師による自主的な倫理指針: ニュルンベルク綱領に続いて、医師の専門職集団は、自律的な組織としてヘルシンキ宣言を発表しました。これは医師の専門性と高度な技術から導き出される利益と害を考慮に入れ、高い倫理性を持って医の専門職が自ら倫理綱領を設けることを意味しています。リスボン宣言も同様の目的を持ちます。

インフォームド・コンセントの具体的なプロセス: インフォームド・コンセントにおいては、被験者に充分な説明と理解、自由な意思決定が求められ、多くの場合、書面での同意が必要です。被験者集団の判断能力を考慮し、研究参加による利益と不利益を明確にし、参加については自由意志を尊重します。研究を妨害しない義務があるものの、被験者は自由に自発的に参加する権利を持ちます。依存した関係がある場合には、特に注意が必要です。