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第Ⅱ部 市場社会を補完する制度 社会保障(経済政策第5回)

高齢者の年金を捻出するためにも税負担や保険料負担の増加は避けて通れないと思う。年金額を下げても生活保護に移行するだけなので。

 

松原隆一郎。社会保障。市場に参加する条件の平等。では結果の平等に関しては所得の再分配はどうあるべきか。格差の拡大。ジニ係数の推移。日本でも80年段階から一貫して高まっている。市場では不確実性に抗って所得が。低所得の人は不確実性の攻略が足りなかった。累進課税は不当。知的能力や家庭の文化資本の有無など、当人以外の要因があるのも事実。再分配の正統性は?生まれても自分で選べない。ロールズ「正義論」。71年。人々が自分の能力などから遮断されている、無知のヴェール。どのような社会状況が理想か。一個の人格であり自尊心を持ち生きる権利がある。人格や自尊心には全員が同意。満場一致で。参加することの自由が平等に。第二の原理。地位について開かれている。公正な機会均等。格差原理。皆が合意するはずだという理論。予め再分配のルールを決めておくのは良さそう。大災害に襲われた時に全ての人が荒野に投げ出される。偶然無事だった地方の人が手を差し伸べてくれて最低限の生活が。大勢の人が安心し納得する。純粋な経済危機においても。誰でも生活が破綻する恐れが。不確実性。25条。社会保障制度の構築を。最低限度の生活を。誰もが自活するための前提となる社会資本や文化資本を。社会保障について仕組みを整理。公的扶助。最低限の生活。生活保護制度により実現。日本の現状ではある人が貧困であるかを調べるミーンズテストを課して自立を促すように。低所得者には社会手当制度などが。高齢者児童身障者などがハンディキャップを克服するための社会福祉。垂直的再分配。社会保険。年金や医療など。低所得者ではなくてもリスクがある場合。公的に整備。リスクに直面した人に。水平的再分配。最低条件を税で、公的福祉。リスクの低減、社会保険。
民間保険の成立。不測の事態が。確率が分かっている、リスク。医療保険。加入の理由。所得の限界効用が一定とする。加入しないとき期待効用は?保険に加入するとき。所得の効用関数。所得に関しリスクを。保険が効率的に成り立つ。社会保険の場合が優位になるのは?民間保険で成立しづらい場合。保険者が結果に関する確率分布を把握している場合がリスク。把握していないと不確実性が。非効率的になるか存続できないか。始まったばかりで頻度が計算できない場合。不確実性がある。発生のメカニズムが複雑で確率分布が出せない、それも不確実。保険を買う側、加入者と保険者、情報の非対称性。2つの問題が。民間の保険ではリスクの高い人がより高額の保険料を。隠蔽してしまうことがある。保険者が把握できる可能性が小さいことを利用して隠蔽。逆選択。情報の隠匿。保険会社は高齢の者に健康状態を正直に言っていない?効率的に設計されない。危険が回避されることで散漫になり事故の可能性が高まる。自動車保険における自動車事故。損失をカバーしてもらえると楽観的になり努力を怠る。モラル・ハザード。多ければ多いほど事象の発生確率が一定値に。大数の法則。ところが発生リスクが高まると効率性が損なわれる。2つの場合に民間保険で処理すると厳格な査定が必要。特に失業保険では深刻。逆選択。求職活動をしなくなる。労働者に生活不安が。社会保険はそれらをカバー。保険加入の強制加入。一律の保険料が高いからと言って脱退できない。割安だからと多くの保険を購入することも出来ない。逆選択が行われても全体のリスクが把握できる。モラル・ハザードは解消できない。制度設計に試行錯誤が。確実な場合は不要。発生確率が知られているなら民間保険が成立。社会保険の制度化がされるべき。給付額の着実な拡大。GDPの20%以上に。年金と医療費が大半。社会保障の給付費の伸びの原因は高齢化。保険収入はGDPを反映するが伸び悩む。収支の差が急拡大している。
各制度の歴史や事情。終戦直後に生活保護法が。児童福祉法、身体障害者福祉法。戦争に由来する貧困が大きな社会問題。50年代の後半から高度経済成長。貧困者の減少。60年には精神薄弱者福祉法。老人福祉法など福祉六法。貧困者対策は親族で、補足性の原理。困窮していても親族が居ない時に初めて。地区のソーシャルワーカーがミーンズテストを。プライバシーの侵害が問題視。就業意欲を損なう。生活保護の受給率。最低生活以下でも受給していない家庭が多いと推定。時代の推移により変容。60年の保育所。所得税課税世帯は19%。90年代後半は70%以上に。94年に策定されたエンゼルプラン。出生率を上げることが。総合計画。保育所も母子家庭の援助に。年金が負荷方式である以上、出生率を上げるのは公的課題。老人ホーム、低所得者中心。70年代に寝たきり老人の増加。80年代には在宅福祉に力点が。ゴールドプラン。ホームヘルパーなど。00年に公的介護保険が。核家族化で大家族の崩壊。老人の独居。地縁の弱体化。共助が機能しないので公助が不可欠に。
日本の医療保険制度。27年に発足。対象拡大。38年に国民健康保険法。地域保険へと。61年に国民皆保険が。大企業は組合管掌健康保険を。政府がまとめて協会けんぽとして管掌。83年には一部負担を。後期高齢者医療制度の導入。国民健康保険は未納率が高まる。低所得者でも免除は認められていない。他方で医療費は増加の一途。上級財。新技術は費用がかさむ、高齢化。65歳で平均の3倍に。公的医療保険の存在。モラル・ハザードが起きやすい。補助金であるとの意識。医療にかかりやすい。医療行為毎に出来高払方式。保険給付額が増えるという動機づけ。医療の改革。コスト意識を高める。自己負担比率を高める。2年に1度の改定。薬価、ジェネリック医薬品の割合を高める。
年金。勤労期間中に支払い平準化。最低所得保障制度があるので生活保護を受ければ良いとモラル・ハザードが。国民皆年金の意義。恩給制度。一般国民を対象、42年に労働者年金制度が。44年に厚生年金保険となる。戦前は平均年齢が短く、自営業の比率も高かった。戦後により寿命が伸び定年の在るサラリーマンの比率が拡大。61年に拠出制の国民年金が、国民皆年金に。それぞれが別に成立。加入期間を合算できるように通算年金制度を。73年。年金給付額の拡大。しかし福祉国家化に歯止めが。基礎年金化。2階建て方式に。自営業は一律の年金を。報酬が把握しづらいので。サラリーマンは比例年金。厚生年金保険と共済年金。両者は統一される。年金制度は積立方式と賦課方式がある。世代間で再分配。積み立てて世代内の再分配を。44年は積立方式とされてきた。飴玉年金。修正積立方式の導入。賦課方式の様相が強くて弊害が。存続が危ぶまれる。少子高齢化の問題。平均支給月額の引き下げ、支給開始年齢の引き上げなど。給付引き上げ幅の抑制。保険料の拡大。賦課方式では若年者の負担が重い。勤労世代から批判が。積立方式を支持する声が。しかし解決は神話に過ぎないと反論が。貯蓄に見立てているが、将来はマクロ経済の動向に。年金保険は不確実性に晒されるため社会保険だが、ミクロ的な情報の問題や人口動向などのリスクにも。積立方式だと運用の失敗という問題が。容易に強制積立制度には移行し難い。年金においても未納問題は無視できない。制度の崩壊にも。世代間の不公平。マクロ経済調整スライド。制度を崩壊させないために国民の生活を崩壊させる?

 

経済政策―不確実性に取り組む (放送大学大学院教材)

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