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恋愛・ジェンダー (1) -キリスト教と禁じられた愛(中世・ルネサンス文学第2回)

全く恋愛には縁がない人間にも性愛には関われるのかもしれない。

 

横山安由美。田崎マヤ。中世ルネサンス文学。キリスト教と禁じられた愛。理想の恋愛。恋愛と結婚と性と生殖は別々のこと。一致するように考えたのは近代社会に入ってから。ブルジョワ的道徳を。作り出す。家父長制度を家庭単位で強化。中世社会ではどのように恋が語られたのか。中世の女性観。創世記。男から取った肋骨で女を作った。起源において補完的存在。邪悪な存在。二人の愛についての記述はない。妊娠や出産の苦しみは罰。マリアは熱烈に。女によって堕落して女によって救われた。両義性。絵画や詩。女の二元化。genderを作り出し固定。genderとは生物学的性とは区別され社会的に構築。ジュリア・クリステヴァ。聖母マリアの持つ処女性。鋳型である。エリティエ。男性なるものと女性なるものの差異を。妊娠可能性。女の生殖力を制御しようとして。処女を所有して。文化表象をも作り出す。結婚により排他的に属する。男を害する女。女の二元化を受け継ぐ。男の立場からの。勿論イエス・キリストはそう考えていたのではなく。聖書の記述やカトリック教会の制度で。結婚について。聖書にはアダムとイブの愛情が書かれていない。神への愛。ローマカトリック教会の考え方。アウグストゥス。快楽は罪である。必要悪としての結婚。愛しすぎるものは問題。結婚は理性的に。愛はなしに。放置しているとどうなるか。家父長制度。親が結婚相手を決めて無理やり男と結婚させる。本人の意志を無視。女性の略奪や駆け落ちは珍しくなかった。身近な親戚同士になりがち。社会的経済的に教会を支えるものとして信徒は不可欠。遠距離結婚を。1204年には教皇が、結婚は7つの秘跡の1つであると。本人の合意があれば結婚可能。経済的事情で。結婚生活についても管理下に。夫婦間であっても生殖を目的としない性行為は禁止、など。中世の人も建前は守っていなかっただろう。ダブルスタンダード。「結婚15の喜び」。監獄を物語調に。悲しみの牢屋。地上最大の責め苦。刑罰は別にして勝る苦痛は他にない。よくぞ結婚に踏み切った。神の前で誓ったので離婚は出来ない。ヘンリー8世がカトリックからイングランド国教会を。一般庶民は離れ業が出来ない。こっそり浮気をするしかない。浮気のテーマが。浮気相手は村の司祭さんが一番多い。3歳の娘。父が居るので母が悲しむ。居ないと神父が居て母がごちそうを。聖職者の腐敗と庶民の知恵。修道士。教区の司祭職。修道士は異性との接触を禁止され禁欲的な生活を。神との合一を。識字率は低く、聖書の世界を理解するために。聖書を読まなければならないからラテン語の読み書きを。女性にとっての修道院。一枚一枚に手書きで書き写す。過酷な作業。殺人事件を扱った「薔薇の名前」。写本を写す仕事がどれほどの苦行が。余白に落書きを。実際に落書きが残っている。卑猥な行為など。余白のほうが面白く。複製するのが書物の制作方法。宮下志朗。書物の制作は特殊技能。書きやすくする工夫が。分かち書きなど。楽になる。自分で直接書き記す習慣が12世紀から。やがて黙読が広まる。文学テクストの内容も変わる。聞かせられないような内容や個人的内容も。12世紀のフランスの自伝。悩み事のせいでベッドで悶々としていると、すぐ上からたくさんの声が。恐怖のあまり気を失った。そこに一人の死者が現れた。幻影が恐ろしくて叫んだ。ランプが消えている。間近に悪魔が。苦行や性的抑圧がもたらす恐怖。書くことの簡易化により文学の幅が広がる。
学問の変化。修道院においては保守的な学習が中心。自由闊達な教授へと変化。スコラ学。哲学とキリスト教をどう折り合わせるか。農業や商業の発達。十字軍。都市文化や都市人口の発達。ハスキンス。12世紀ルネサンス。唯名論。アベラール。一切の権威に囚われず真理の解明を。互いに対立している内容も含まれる。聖なるものについて裁くことも理由のないことではない。能力の高さと勇気を。人気を獲得。教説に権威を。講義に押しかける。日ならずして伝承学の王者として。嫉妬や苦悩にも。多くの学僧が集まる。競争原理は学問の興隆をもたらしたが厳しいものでもあった。敵も多かった。命がけの学問。学問的に波乱万丈の。恋愛においても類稀なる経験を。20歳下のエロイーズ。家庭教師だった。飼い犬に手を噛まれる。学問という名を借りて愛に溺れた。愛に関する言葉が。手は書物よりも胸へと。愛のムチ。愛しいと思うが故に甘美なもの。愛欲の燃える段階を。2人の関係はおじにも知られる。復讐を。局部を切断させる。裏では結婚を巡る各自の思いが。エロイーズは妊娠していた。結婚を申し出る。本人は断る。机が在るかと思えばゆりかごが。騒々しい音に耐えられない。悪臭や汚物。エロイーズは所帯じみた生活が学問の邪魔になることを知っていたし、妻になることには関心がなかった。軽蔑さえすることも。愛人というのが甘美に。娼婦と呼ばれても良い。結婚は秘密裏に。おじは結婚を吹聴する。当時の女性の避難場所としては修道院は一般的だったが。おじの怒りは局部切断に。結婚にまつわる世間体からの。ソロモンも女に骨抜きに。サタンはよく知っていた。男を堕落させるには女を利用すること。結婚により躓かせようとした。善により悪を。エロイーズは紋切り型の表現を。論旨は結婚そのものがおかしかった、だから悪魔につけこまれる。大胆な社会批判。愛のきっかけは自分勝手な男の征服欲?尊敬の念を愛情に。妊娠したときは喜んで報告した。息子にアストロラブと。クリスチャンネームではなく学問らしい。それぞれ修道女となって。手紙の交換。エロイーズは慕い続ける。不快に思うことはありえない。立ちはだかるのは喜び。清いお祈りをするミサの最中でもいかがわしい妄想に夢中に。失った喜びにため息を。心の中で同じことをやり直す。胸中の思いが口をつくことも。全力で働く一方でヴェールを。神無き修道女。自殺すら。神のことを思ってほしいと諭している。愛に生きる女と理性に生きる男。男女の対照的なロールプレイ。調和を保っている。孤独な戦いに。人間への愛を神の愛に昇華させるという戦い。絶望的だが戦う、哀れ。本当に大変なのは自分の心を動かすこと。多くの読者が共感したのは、レトリックを駆使していたから?古代の名文家からの引用を。普遍的感情を分析して。それを活用。紋切り型も増幅するためのもの。当時の書簡は人に読まれることを前提としていた。誰かに音読させることもあった。後世に残ることもあった。プライベートはユートピア。自分たち知識人は神や社会規範から自由であると。常に第三者を意識する。私的な内容に普遍性を。文学のヒントに。公でありながら普遍的である。それを可能にするのが文学。テクストに媒介させる。物理的存在となった時点で誰でも受容可能に。「愛の往復書簡」。

 

中世・ルネサンス文学 (放送大学大学院教材)

中世・ルネサンス文学 (放送大学大学院教材)