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ビレッジISAはリカバリー概念を核とし、精神障害者の尊厳と社会的包摂を目指す多面的支援をアメリカで実践しています。(家族問題と家族支援第7回)#放送大学講義録

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リカバリー概念は精神障害者とその家族の生活と人生を支援する新たな考え方として、特にアメリカ・ロサンゼルスのビレッジISAで実践されています。ビレッジISAは、雇用、住居、地域統合、生活支援、教育、医療を統合的に提供し、利用者の尊厳、希望、人生、生活の回復を目指しています。リカバリーのプロセスは希望、エンパーメント、自己責任、社会的役割の獲得の4段階に分かれ、病状コントロールではなく、尊厳と生活の質の向上に焦点を置いています。

ビレッジISAの実践は、従来の伝統的医学モデルとは異なり、専門家と当事者、家族間のパートナーシップに基づいた成人対成人の関係を重視し、本人の価値や自己決定を尊重しています。サービス提供は、メンバーとスタッフの相談と協力によって決定され、薬物投与は最小限に抑えられています。また、リカバリー実践は、当事者がコミュニティの一員として包摂されることを目指し、政策やサービスは当事者の人生や生活の質に焦点を当てることが求められています。

このパラダイムシフトは、従来の医学モデルの特徴を逆転させる試みであり、リカバリー概念の実現には、当事者やスタッフの共有だけでなく、包括的な資源とサービスの継続的供給が不可欠です。ビレッジISAの取り組みは、リカバリーを志向する実践の先駆的な例であり、精神障害者のリカバリーに向けた新たなアプローチを提供しています。