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政策形成プロセスの全貌(公共政策第11回)♯放送大学講義録

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そこで、この4番目について詳しく見ていくことにしましょう。法令を作ったり改正したりする一連の政策形成プロセスの中で、専門家を集めた会議で議論をしたという体裁を取るのが一般的です。もちろん、より良い政策案とするために専門的知識を取り込むという積極的な側面もありますし、さらに政府が考える方針に専門家のお墨付きが欲しいという消極的な側面もあるでしょう。

理由はともかくとしても、学識経験者や業界関係者を集めて議論する場を作ることによって、何らかの形で政策領域に関する専門家が政策に反映されることにはなります。

では、どのように議論する場が作られるでしょうか。それは、一般的には二段階で行われます。

第一に、私的諮問機関と言われる研究会や懇談会という形式で政策案の検討が行われます。私的というのは、法令に基づかないという意味にすぎません。役所が主催し、人選も行いますし、報酬も税金から支払われますので、公的な組織の一つであると考えた方が自然です。

大学の研究者やシンクタンクの研究員といった学識経験者のほか、業界団体から推薦された人物で構成されることがよく見られます。そこでは、問題の所在について共有し、どのような方向性で政策を変更するのかといったことが審議され、一定の合意を得ます。

実質的な政策の方向性はこの段階で決まると言っても過言ではないので、私的諮問機関だからといって軽視してはなりません。その次に、そこでの結論を踏まえて、法令に基づいた公式の審議会に諮問するという手順になります。

例えば、教育に関しては文部科学省に中央教育審議会が、産業振興に関しては経済産業省に産業構造審議会といったように、各府省に関連する審議会が設置されています。法律のみならず、その下の政令なども含めた新設や改正など重要事項についての政策決定を行う際には、こうした公式の審議会に諮問することが標準的な手続きです。

最も、現在では、審議会に全体を統括する総会は形式的に開催されるのみとなっており、実際の審議は、総会の下に細かいテーマごとに設置される分科会や部会、さらにはその下に論点ごとに設けられる小委員会やワーキンググループといった多様な会議体で行われます。より実質的な議論は小さな単位で行われていることに注意する必要があります。会議においては、出された論点ごとに議員間で討議し、最終的な意見を形成していきます。

専門家の対立となることもありますが、重要なのは、学術論文と異なり、多数派と少数派が折り合いをつけながら合意を得ていくことです。そのプロセスでは、役所だけでなく、利害関係を持つ企業や団体といった関係者たちは、自分たちの意向が反映できるように、委員に対して様々な情報提供や陳情、根回しを行うことも珍しくありません。全会一致を目指すため、少数派への配慮も必要です。例えば、答申自体のトーンを弱める表現を採用したり、少数派の意見があったことを明示したりといったこともあります。

関係者の合意を広く得ることができれば、その分、会議の権威が高まり、その結論が尊重されやすくなります。なお、こうした諮問機関の議事内容や配布資料は、1990年代後半以降、インターネットで幅広く公開されるようになっています。

皆さんも関心のある領域でどのような議論が行われているのか、ぜひ調べてみてください。