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言語習得論(3) -多言語環境における言語習得-(新しい言語学第8回)

今のように外国から来られる親の子どもが増えればバイリンガルとして小学校教育を構成し直した方が良いかもしれない。

 

松井智子。滝浦真人。言語習得論。多言語環境における言語習得。心理と社会から見る人間の学。ポイント。主にバイリンガルとして育つ子の言語習得。バイリンガルにしたい親は増えている。難しさに焦点を。語彙の数が単純に考えて2倍に。バイリンガルとして暮らす。大変だが苦労は報われる話も。臨界期。タイミングの問題が関係する。楽天的に考えない方が良い?少なくとも複数の言語に触れている環境でも、必ずしもバイリンガルになる訳ではなく、どの言語も習得できないままになることも。バイリンガルになるには色々な条件がある。
まずバイリンガルの言語発達について。バイリンガルの人の言語能力についてのイメージは?何方の言語も母語話者と区別がつかないくらいに話す。何方も完全に対等になるのは難しいが。どちらも上手く使えるというイメージ。しかし実際はこのようなものに該当する人は多くない。個人差も在るが、多言語環境でも両方共育つのは稀。自然な状態のままだと、両方同じようには伸びない。初等教育などで使わない言語はなかなか能力に達しない。家庭で使っている言葉と社会で使われている言葉と、社会の方が得意になり、家庭の言語は衰退する。会話力はまあまあ伸びるが、大人のレベルの抽象的な言葉や複雑な文になると教育の力が必要。2つ以上の言語で教育する学校の場合は、同じレベルで伸びる、バイリンガルになる可能性が高い。生まれた頃から2つの言語で。3歳位まで2つの言語が使われていると、子どもにとり母語が2つになる可能性がある。国際結婚の親。母親の母語と父親の母語の、母語は最初に覚えた言葉と。母語と第二言語の関係は色々。3歳になってから生育環境に別の言語が加わる場合、バイリンガルになるが2つの言語が母語になることは殆ど無い。1つ目の言葉が母語になる。6歳でアメリカの学校に。長期に滞在しても日本語の次に英語を。第一言語が日本語。英語は母語ではなく第2言語。双方とも順調に育てばよいか。滞在年数に比例して英語の力が伸びるが日本語の能力は伸び悩む。母語の力は8歳まで時間を掛けて。第2言語の習得はその後が良い。英語の方も同年齢と比較して劣る。5年以上が必要。母語や第2言語はタイミングや期間が重要。8歳くらいまでは母語に。早く英語環境に移らない方が良い。結果として母語が日本語だがずっとアメリカに。第2言語の方が上手に。現地の言葉を使えるようになるのが利点。
バイリンガルへの道は険しい。現実には思いのままに操れることに憧れを。英語ができるようにと。早期教育への期待。早ければ早いほうが良いという思い込み。子どもにとり大変。親の決断が子どもの一生を左右する。母語の習得ができる8歳までに第2言語を習う場合のマイナス点。早くか2言語の環境で。単一言語の子どもに比べ語彙の数が少ない。カナダでの調査。3歳から10歳のバイリンガルとモノリンガル。語彙の数が違う。2つの言語の語彙を習得する必要が。習得に時間がかかる。バイリンガルの子の語彙の数はモノリンガルにおとなになると追いつく?最近のカナダでの調査。24歳位になってもバイリンガルで育った人は語彙の数が少ない。成人になっても追いつかない。学校教育はモノリンガルに対応して。大学を卒業するまで語彙の数が追いつかなかったら学習にも苦労が。平均年齢69歳になるとバイリンガルとモノリンガルの語彙の数に差が無くなる。言葉の意味の理解には臨界期がない。一つの証拠。バイリンガルとして育った人もモノリンガルも語彙が増え続ける。慌てて第2言語を始める必要はない。70歳近くなって並ぶのは複雑。バイリンガルとして育つ場合のマイナス点。2言語の習得には1言語の習得より時間がかかる。バイリンガルの言語の習得が遅れがち。言語能力の発達は言語能力にとどまらない。社会認知能力。対人的社会的場面でふさわしい言動を。上手く友達関係を作りコミュニケーションをする。社会認知能力の発達にかかる。他人が信じていることを説明する。心の理論。心の状態は仮説を立てて理解する。理論を組み立てることに似ている。国語の時間で登場人物の心情。高い読解力。心の理論に関係がある。社会的な面も。心理学的。心が関わるが他シャンに関わる。コミュニケーションや人の気持を。最初の節目は4歳から5歳。初めて他人が自分と違うことを考えていることを理解して話ができる。学校生活の適応と学習。言語能力にも深く影響。言語能力の高い子どもほど人の考えを理解できてコミュニケーションもできる。言語能力に劣ると心の理論が。環境の理由から何方の言葉も理解がしづらい。心の理論の節目。言語能力に遅れが生じると心の理論にマイナスに。言語能力の高い子どもほど後押し。まだ議論はあるが。
マイナス面。具体的話。本当にそうなのか?実際に2言語の環境で育った人の例。日系ブラジル人の子どもたち。日系外国人が増えている。移民として海外に渡った人の子孫。多くは自動車工場が多い愛知県や静岡県で住む。三重県の伊賀上野。忍者の里。工業団地で働く人達。ブラジルやペルー。小学校が国際色豊か。労働者家庭の子ども。17人の日系ブラジル人の子どもたち。殆どが日本語もポルトガル語も母語になりうる。両方とも3歳にみたない。2歳以上の遅れ。両親が話す言葉の方が語彙が多い。翌年から小学校に通うことを考えると苦労が。語彙力や文法能力。モノリンガルが5歳の時の構文を。それを理解できるか。例を。女の子はお父さんの手に血がついていると言いました。でも本当はケチャップでした。簡単な文。質問。女の子はお父さんの手に何がついていると言ったのか。簡単。先生のように答えられるのは5歳以上で。3歳ではケチャップと。心の理論という言い方用語。変な言葉ではない。思ったり言ったりしていることと現実が違う時。えらい違い。実際についていたのはケチャップ。3歳児はケチャップと。誤解して解釈。現実と異なることを言うことが3歳児には理解できない。真実はただ一つ。大人に近づくのが5歳児。ブラジル人の子ども。5歳。でも実際は同様の問題を10問出して半分しか正解できなかった。心の理論の発達。心の理解の発達は?課題を一つ紹介。物の予期せぬ移動の課題。3歳児になってもらう。一応こんなふうになると。ここにチョコレートの箱が。中身は見ないで。チョコレートが入っている?消しゴムが入っていた。箱の中を見ていない浩くんは?やりながらしんどいものが。心が出来ていない。現実とは別の心を持っておらず現実に引き寄せられる。この課題は中身が別。予期せぬ中身問題。3歳時は大抵の場合はチョコレートが入っていると。中が分かると最初から消しゴムが入っていたと。正しいのは何方もチョコレート。5歳位になると正しく答えられる。現実とは違った誤解や思い込みがあることを理解できる。現実とは別の思い込みの世界。5歳になると切り離せる。日系ブラジル人。同じような課題を。結果。殆どの子どもが3歳児のような解答を。何方の課題に共通する、現実と違うことを考えることがあると理解してない。学校生活への適応や学習が問題に。言語発達を支えるサポートシステムは少ないのが現状。その辺を支える必要がある。
これまでバイリンガルとして育つことは大変だと。プラスの面。2つの言語を操れるようになるのはもちろんプラスだがそれ以外も。バイリンガルとして育つプラスの面。実行機能というコントロール。何方の言語かを判断して切り替える。母には日本語へ。父が来ると英語で。コントロール能力が認知的にも役立つ。外国語で話すのが脳に負担だが。先程話した日系ブラジル人の子供の話。実行機能に関してはモノリンガルと全く引けを取らない。モニターにアルファベットが出てくるので。アルファベットのAだけボタンを押してはいけない。ドンドン早くなるが押すのを我慢できるか。大人でもつい押してしまう。とても良く出来ていた。注意のコントロール。補うことが期待できる。意識していて対応できるように。カナダの調査。継続的に脳に負荷がかかり老化を遅らせる。バイリンガルの人が平均して4年遅い。2つの言語を習得することは大変な努力が必要だが脳のトレーニングに。
バイリンガルとして育つ子ども。多言語環境。バイリンガルとして育つには時間もかかる。例えばカナダのようにバイリンガルとして育つことが標準になれば。日本ではどうか。

 

 

 

思考と発話 明示的伝達の語用論

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