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パロディーの真実:芸術から法へ(知財制度論第3回その10) #放送大学講義録

-------講義録始め-------

 

では、パロディーについて考えてみましょう。
パロディーの歴史的な起源は、古典やルネサンスの模倣(モゴ)にあります。これは、パロディーが元のテキストや約束事の差異や距離を強調すると同時に、自己言及の技巧の一つであるとされています。
パロディーは、日本で一般的に見られる風刺や文字とは異なり、芸術として認知されています。
例えば、ジョイスの『ユリシーズ』はホメロスの『オデュッセイア』のパロディーであり、『ウエストサイドストーリー』はシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』のパロディー、『スターウォーズ』は『オズの魔法使い』のパロディーであり、手塚治虫の『ジャングル大帝』はディズニーの『バンビ』の影響を受けています。それぞれの芸術性において、後者が劣っているわけではありません。
絵画や音楽の世界でも、元の素材を再構築することは、必ずしも品質が劣化するわけではなく、この点で一致しています。
オリジナルを模倣してパロディ化する行為自体は、科学技術の発展や芸術性の高まりとも関連しています。
パロディは、他人の著作物に表現されている思想やアイデアを抽出し、それを自分の著作物に取り入れ、自分の言葉で表現する限り、著作権侵害には該当しないとされています。
風刺は抽象的な価値観に対する操作とされ、具体的な価値や量に対しては適用されないと一般的に考えられています。
それは、ロマン派がパロディを規制的なものと見なした背景には、資本主義が文学を個人の所有可能な商品に変えた影響があるとされています。