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民法の親族と親等の基本概念(人生100年時代の家族と法第1回)#放送大学講義録

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さて、ここからは民法の条文を確認しながら、親族、血族、姻族といった家族に関する基本的な概念について学ぶことにしましょう。民法の条文には「家族」という言葉は一切出てきません。民法で使われている用語は「親族」です。親族とは、一般的には婚姻や血縁に基づいた人間関係を意味しています。つまり、親族と親戚は日常用語としては違いがあまり意識されていません。しかし、民法における親族とは、法律上の権利義務、責任、制約などが及ぶ当事者の範囲を意味しています。

具体的には、「6親等内の血族」「配偶者」「3親等内の姻族」が民法上の親族とされています。6親等の血族とは、自分から見て6代上、あるいは6代下の世代ですので、非常に広い範囲を指しますが、民法ではその広い範囲を親族としています。

例えば、制約の1つの例として、民法第734条第1項では、直系血族間(親と子、祖父母と孫の間)の婚姻や、3親等内の傍系血族(叔父と姪、叔母と甥の間)の婚姻を禁止しています。いわゆる近親婚の禁止です。では、親等の計算方法について、親族に関する基本的な用語を見ていきましょう。

親等とは、親族関係にある者同士の間の距離を意味する概念です。まず、親等の計算方法について説明します。自分を基準とし(プラスマイナス0)、自分と父母の間は1つ上の世代に上がるので、自分と父母の間は1親等になります(民法第726条第1項)。

また、民法では「兄弟姉妹」を「けいていしまい」と発音するのが正しいとされています。自分と兄弟姉妹の間は、まず自分から父母に1つ上がり、次に父母から兄弟姉妹まで1つ下がります。したがって、自分と兄弟姉妹の間は1+1で2親等になります(民法第726条第2項)。同じような計算方法で、自分と叔父・叔母との間は1+1+1で3親等、自分といとこ の間は1+1+1+1で4親等になります。

血族とは、文字通り血縁関係にある者同士のことです。遺伝的な血の繋がりがある場合を「自然血族」と言います。これに対して、養子縁組の当事者(親と養子)のように遺伝的な血の繋がりはありませんが、民法によって血縁関係があると見なされる関係を「法定血族」と言います(民法第727条)。

配偶者とは、夫から見て妻、妻から見て夫のことです。自分と配偶者の間は対等かつ平等な関係なので、親等は観念されません。自分と配偶者の間はプラスマイナス0ということです。なお、我が国では2022年時点では、同性同士、男性同士、女性同士による同性婚は認められていませんので、配偶者は男性と女性、夫と妻の組み合わせを意味します。

姻族とは、婚姻を介して、つまり配偶者を介して生じる親族関係のことです。自分と配偶者の両親、いわゆる義理の父母との間は姻族1親等となります。自分と配偶者の祖父母、いわゆる義理の祖父母との間は姻族2親等となり、自分と配偶者の兄弟姉妹、いわゆる義理の兄弟姉妹との間も姻族2親等になります。