F-nameのブログ

はてなダイアリーから移行し、更に独自ドメイン化しました。

感染経路・免疫の基礎解説(感染症と生体防御第1回)#放送大学講義録

ーーーー講義録始めーーーー

 

感染経路に関する説明に加え、宿主の感受性についてご説明します。

まず、前述の通り、病原体が宿主の体内に侵入しても、必ず感染を引き起こすわけではありません。すなわち、病原体が宿主の体内に侵入しても、そのまま増殖せずに排除されれば発症しません。ただし、一部の病原体は産生する毒素により悪影響を及ぼす場合があります(例:黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌)。

また、感染症や伝染病に対する宿主の防御機能を免疫といいます。宿主が特定の感染症に関与する病原体やその毒素に対して、特異的に働く抗体や細胞を保持していることが、感染に対する抵抗力となります。実際、感染症の流行時に発症しない、あるいは軽度の症状で済む人々が存在する背景には、こうした免疫の働きがあります。

免疫には大きく分けて受動免疫能動免疫があります。

  • 受動免疫
    すでに免疫を獲得している個体から、免疫抗体を他の個体へ移すことにより一時的な防御効果を得る方法です。受動免疫には以下の2種類があります。

    1. 自然受動免疫:胎児が母体の胎盤を通じて、または生後に母乳(特に初乳)を摂取することで、母親から抗体を受け取ること。
    2. 人工受動免疫:患者に対して、感染症に対する免疫抗体を含む血清や免疫グロブリンを投与する治療法。新型コロナウイルス感染症の治療などで実施されました。
  • 能動免疫
    自らの免疫系が病原体に反応して抗体や特異的な免疫細胞を生成することで、防御効果が得られる仕組みです。