ーーーー講義録始めーーーー
次に、血液感染について説明します。
血液感染とは、感染者の血液や体液、分泌物などに接触することにより、病原体が侵入し、感受性のある宿主で感染が成立する経路を指します。具体的には、注射針などの医療器具の再利用、入れ墨の施術時に感染者の血液が体内に侵入する場合、また、輸血や血液製剤による感染などが含まれます。
次に、経口感染について説明します。
経口感染は、汚染された食物や水などを摂取することにより発生する感染経路です。
次に、垂直感染について説明します。
垂直感染とは、母体から子どもへ感染が伝播する経路を指します。垂直感染には、以下の経路があります。
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胎盤感染(体内感染):妊娠中、母体の感染病原体が胎盤を通過して胎児に感染する場合。例として、風疹、サイトメガロウイルス感染症、HIV感染症などが挙げられます。妊婦の梅毒罹患や風疹感染による先天性梅毒や先天性風疹症候群も、胎盤感染の結果として生じる先天性障害の例です。
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産道感染:分娩や出産時に、新生児が産道内に存在する病原体や、分娩時に出血した母体の血液により感染する場合です。胎盤感染とは異なり、直接接触による感染経路となります。HIV感染症やB型肝炎などが該当します。
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母乳感染:母乳を介して感染する経路です。HIV感染症やHTLV-1ウイルス感染症が該当します。なお、HIV感染症は、胎盤感染、産道感染、母乳感染のいずれの経路でも母体から子どもに感染する可能性があります。
次に、昆虫媒介性感染症について説明します。
(※以下、代表的な例を示します)
- 蚊が媒介する感染症:マラリア、ウエストナイル熱、デング熱、黄熱、フィラリア症などがあります。
- ノミが媒介する感染症:ペストなどが代表例です。
- シラミが媒介する感染症:発疹チフスなどがあります。
- ダニが媒介する感染症:ツガ虫病、スレプトスピラ症、日本紅斑熱、日本高反応熱、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)など、多岐にわたります。