F-nameのブログ

はてなダイアリーから移行し、更に独自ドメイン化しました。

琵琶湖博物館の展示と発掘調査の魅力(博物館情報・メディア論第15回)

ーーーー講義録始めーーーー

 

琵琶湖博物館の展示と研究の紹介

琵琶湖の歴史とジオラマ展示
この展示室では、約400万年の歴史を持つ琵琶湖の成り立ちを解説しています。中央には、大まかな地形や地質の変遷を一目で理解できるように、ジオラマを配置し、琵琶湖の様子が視覚的に分かるようになっています。また、周囲には分類展示として、湖に関連する標本が並べられています。さらに、展示の中心部には「なぜこのような展示が可能になったのか」という研究過程を紹介するセクションもあり、研究成果がどのように活用されているかがわかります。


古代琵琶湖の発掘調査

この展示では、琵琶湖の東側にある川の発掘調査で発見された約250万年前のゾウの化石を紹介しています。発見当時、現場で型取りを行い、その後、樹脂を流し込んでレプリカを作成し、博物館で展示しています。また、同じく発見されたシカの足跡も展示されており、当時の環境を再現する貴重な資料となっています。

フィールド研究と考古学的展示
このエリアでは、フィールド調査で使用されるさまざまな道具や、古代の生活を復元した模型が展示されています。特に、縄文時代から近代・明治時代にかけての人々の生活が詳しく紹介されており、それぞれの時代ごとの暮らしを学ぶことができます。


伝統的な船の復元と技術の継承

この展示には、琵琶湖で使われていた伝統的な木造船の復元模型があります。これは、昭和時代に唯一作られたもので、当時の船大工の指導のもと、3年間かけて木材の選定から製造まで行われました。もともと設計図が存在しなかったため、培ってきた技術を息子に伝承しながら製作を進めたという背景があります。これは単なる展示品ではなく、技術継承の重要性を伝える貴重な資料です。


考古学的調査と環境変遷の展示

館内には、考古学的な調査に基づき、縄文時代の人々がどの季節にどのような生活を送っていたのかを明らかにする展示もあります。発掘調査によって判明した生活様式を再現し、遺跡の様子をそのまま展示することで、当時の生活環境を直感的に理解できるようになっています。

また、琵琶湖周辺の環境変遷に関する展示では、湖の岸辺から農地や人々が暮らす集落へと視点を移しながら、地域の変遷を追体験できる展示の流れとなっています。


昭和30年代の民家の再現

琵琶湖博物館では、昭和30年代の民家を再現し、当時の暮らしを紹介しています。昭和30年代は高度経済成長が始まる直前の時期であり、現代とは異なる水回りの設備や、日常生活の様子が学べるようになっています。


調査研究の公開と来館者の意見交流

館内では、フィールドサポーターによる調査活動や研究成果を紹介するコーナーが設けられています。ここでは、実際の調査の様子を映像で紹介したり、考古学的な研究方法を解説したりしています。さらに、来館者が展示を見た感想や意見を自由に書き込めるオピニオンボードも設置されており、訪問者同士の意見交換ができる仕組みになっています。

また、タッチパネル式の地図を利用して、琵琶湖周辺の環境や発掘現場の詳細な情報を拡大して表示できる機能も備わっています。