F-nameのブログ

はてなダイアリーから移行し、更に独自ドメイン化しました。

冷淡な傍観者(社会心理学第3回)

紹介された実験はとても的確だと感じた。よくアイデアが練り上げられているなあと。

 

ビブ・ラタネとジョン・ダーリー。状況の力は強大。服従実験に対し、今回は、特に権威を持っていない者でも、存在するだけであっても、影響を及ぼす。現実にあった出来事が基で実験を。前回はホロコースト。今回はニューヨークで起きた殺人事件。評論家が思いもよらない仮説を検証する。傍観者効果と呼ばれるようになる。
「冷淡な傍観者」。人間の行動。援助行動。先ずは事件について。64年。初めに助けを求めてから20分で殺害される。目撃者は38人もいた、という報道。誰一人として助けず見殺しにした?事件には気づいても状況を把握していたのは少なかったかもしれない。痴話喧嘩なのか緊急事態なのかは分からなかった。助けなかった原因。冷淡さや臆病さ。道徳心が欠けている。これらの解釈を筆者は否定する。2人は緊急時の援助行動を研究する。何故人は被害者を助けないのか?実験をして詳しく分析する。結論。数が多いほど人は援助しなくなる。その分差し伸べられる手は多くなるわけではなく、抑制される。何故?実証研究。近い形で行われた実験。ある人が緊急事態に陥ったことがわかればよい。討論している最中にある人が癲癇発作を。学生が一人ずつ参加、75名のデータ。小さい個室に通されて実験の説明を。偽りも含む。研究の目的はどのような個人的問題を抱えているかを知るということ。他にも参加者が居るように思わせる。様々な工夫。気詰まりを起こさない為に個室を用意した。話すことは他の人に知らせない。取りまとめの研究者も居ないということにする。期待させることがないように。参加者が居ないことを。音声に従って話をしてもらうことにする。順番に個人的な話を、それから全員で討論。病人役に続いて他の人も。参加者は一番最後に。順番に話している人の順番を変える。3種類。2名条件、3名条件、6名条件。本当の参加者に聞こえるのは録音。研究者はその様子を確認できる。病人役以外のマイクはオフに。他に気づいている人は居るのは分かるけれど、どのように行動するかは分からない。病人役は途中で発作のような状態を。参加者には緊急性の高いのが分かるはず。反応が観察される。自分の個室を出るまでにかかった時間。発作から6分経っても出てこない場合は中止。個室を出るまでの時間も、参加者が多いほど長くなっていた。2名条件で100%、3名条件では85%、6名条件では62%。2分ほどで音が途切れるまでは。85%、62%、31%。傍観者効果と呼ばれる。居合わせた人々の数は、把握したとしても自分の行動に反映するとは思っていない。強く疑問に思うほど。人が容易に気がつくことの出来ない要因を。癲癇発作の実験はもっとも有名。しかし実験はそれだけではない。質問紙回答をしている時に煙が。マジックミラー。鏡の反対側からは観察できる。煙に気づいてから部屋を出るまでの時間を測定。全ての実験で傍観者効果が実証される。では、傍観者効果は何故起こる。責任の分散と集合的無知。責任の分散。自分以外にも居ると思いこんでいると、他の人にも責任があると思い、自分に責任があると思う度合いは減っていく。自分だけだと決断できるけれど、その場にいる者全てが責任があると、自分がする可能性が減る。適した人が居るとか、既に行動したと思ってしまう。集合的無知。誤った思い込み。集団の人の殆どに共有されている。自分の考えは他の人の考えとは違うと思い込む。煙が出てきたり呻き声が聞こえたりして、緊急事態だと感じるけれど、自分だけではと周りを伺う。他の人の様子を伺うと何もしていない、きっと緊急事態ではないと思いこむ。しかし他の人も自分と同様に考える、故に誰も何もしない。どちらか片方で傍観者効果が説明できると言う訳ではない。そのステップの異なるところで。意思決定のプロセス。緊急事態での傍観者。5段階。緊急事態への注意。何かが起こったことに気づく。煙などの異変のシステム、特定しようとする。緊急事態だという解釈。火災が発生したという解釈。個人的責任の程度を決定。警備員が居れば助ける必要がない?自分の子供が居れば助けなければと思う。援助の方法を決定。消火器を探して消火、119番通報する。決定した方法を実行に移す段階。消火器を利用。障害を乗り越えなければならない。第1段階の前から。別に集中することがあればそれも障害となる。酔っぱらいなのか病気なのか分からない。ただの揉め事と思うことも。集合的無知。援助行動を移すにも。周りの目を気にするなど。助けることの損失が大きいと思ってしまうことも。それぞれの段階には障害があり、乗り越えてようやく援助行動に移せる。楽な方向にどんどん圧力がかかる、知覚すら歪む。緊急事態ではないと思いこむことも。罪悪感が無くなる。知覚の歪みが生じる。「冷淡な傍観者」以降。多くの研究で支持される。傍観者効果が起こりにくい状況について。メタ分析。傍観者効果の研究をまとめる。フィッシャーらは全体としての分析を、メタ分析。傍観者効果が多様な局面で起こる。犠牲者が男性であっても女性であっても、面識があってもなくても。近くに居ても遠くにいても。ただし、傍観者効果が弱くなることも。緊急事態の危険性が高い場合。インターフォンを通して話をしていると怒鳴り込まれる。女性にハラスメント。自分以外を援助資源としてアカウント出来る場合。傍観者効果があっても相対的に弱くなる。何故?そもそも何故助ける。覚醒水準が高まる。意識がはっきりする。自分が近いほど覚醒水準が高まる。抑えるよう動機づけられる。介入して自ら援助する。援助をすると損失も出る。報酬もある。起こりづらい場合。ナイフを持った人に誰かが襲われている場合。助けなければ殺されてしまう。自分自身に危険がある場合には緊急事態が強く認識される。被害者がとても危険だと援助行動が起こりやすくなる。1人で助けるよりも複数人で助ける方が確率が高くなる。モデルが複雑?もっと単純に説明できない?落ち着いた状態に戻りたいという利己的動機では不十分?人が人を助ける時の利他性。共感的配慮。人の為の行為をしよう、援助行動。傍観者効果が抑制されるのは、相手を思いやる力も強くなるから。何故人は他者を助けるのか。利他的動機や利己的動機。決着はついていない。面白い問題。援助行動についての面白い研究は多い。
「冷淡な傍観者」の実験の面白さは?状況の影響をはっきりと特定できた点。直感では分かりづらい結論が導かれる。様々な憶測を覆す。手続も細やか。集合的無知は分かりづらい概念。けれど面白い。自体が曖昧な状況で起こりやすい。何故?最初からはっきり分かることは少ない。曖昧さや不確実性。けれど適切に判断しようとする。手っ取り早いのは他の人を観察すること。自分がとる行動を推測する。集合的無知が起こりやすい。

 

社会心理学 (放送大学教授)

社会心理学 (放送大学教授)