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不動産利用と法(民法第9回)#放送大学講義録

以下の内容は民法の大改正前のものなので注意のこと。

 

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-----講義録始め-----

 

不動産利用と法:建物や土地の賃貸借の概要

現代社会における不動産の利用は、賃貸借を中心に進行しています。賃貸借は、民法の601条を始めとして、借地借家法や区分所有法などに基づくものです。特に、借地借家法は賃借人の権利を保護する目的で制定されました。賃借人は賃借権を取得しますが、その効力は排他的ではありません。登記がなされない限り、賃借人の地位は弱いとされます。しかし、605条に基づき登記を行うことで、他者に対して権利を主張することが可能となります。

過去の社会的背景、特に地震や日露戦争後には、建物を取り壊す動きが見られました。これが社会問題となり、明治42年に建物保護法が制定されました。この法律により、地震売買から建物を保護することができるようになりました。建物登記をしていれば、地震売買からの保護が可能となります。

平成3年に制定された借地借家法は、土地の貸し渋り問題を解決するためのもので、定期借地権を導入しました。この中には、一般定期借地権や建物譲渡特約付借地権など、3つのタイプが存在します。これにより、土地を取り戻せない問題や土地の貸し渋りを解決するための新しい選択肢が増えました。

賃貸借の成立には、諾成契約や有償契約があり、敷金の交付や敷引特約など、様々な特約が存在します。敷金は、賃料や損害賠償を担保する目的で交付されます。賃貸人は、賃借物を使用・収益させる義務や修繕義務、有益費の償還義務などがあります。一方、賃借人は、賃料の支払いや善良な管理者としての注意義務が求められます。転貸借に関しては、賃借人が第三者に譲渡・転貸する場合、賃貸人の承諾が必要とされます。

1980年代からは、サブリース契約が登場しました。これは、空き室であっても一定額の賃料を確保するための契約で、転貸借を行い、転借人から賃料を受け取る形態です。賃貸借の解除に関しては、継続的な契約関係の中で、原状回復請求権や精算関係が複雑になることがあります。特に、建物や土地の賃貸借が終了する際には、時価での買い取り請求や造作物の買い取り請求が可能となります。

以上が、不動産利用と法に関する概要です。不動産の利用や法的背景を理解することは、現代社会において非常に重要です。