担任の先生は受け持ちの児童生徒のことは把握しておかないといけない。学校の先生が大変なわけである。
-----講義録始め-----
次に、学級集団と児童生徒理解について見ていきます。学校の教育活動は学級集団を単位として行われています。学級集団は、児童生徒にとって日々の学習と生活の基本的な場であり、教師にとっては学習指導と生徒指導を進める基本的な単位です。教師は学級集団のリーダーであり、児童生徒はそのリーダーに従うフォロワーです。教師はリーダーシップを発揮し、学習指導と生徒指導をスムーズに進めるために学級集団をまとめ上げる必要があります。
教師が児童生徒を学級という集団にまとめることを「学級の集団化」と言い、これは一般的に「学級作り」とも言われます。教師が学級集団をうまくまとめ、学級を集団化して児童生徒を導く力はリーダーシップです。教師のリーダーシップは、学級集団のあり方を大きく左右します。
教師のリーダーシップの取り方は、教師と生徒の関係や生徒同士の関係に影響を与え、学級集団の雰囲気を作り出します。この雰囲気は「集団雰囲気」と呼ばれ、集団活動を続ける中で生まれる感情的状態を指します。一度形成された集団雰囲気は、児童生徒の学習行動や集団行動を促進または抑制します。
教師が学級集団をまとめるためには、児童生徒1人1人の性格や背景を理解する必要があり、これを「児童生徒理解」と言います。また、学級集団内にはさまざまなグループが存在するため、これらのグループを理解することも必要です。
児童生徒理解には、児童生徒の性格、能力、態度、行動特徴の心理的側面だけでなく、家庭環境や友人関係などの社会的側面も含まれます。特に生徒指導では、児童生徒の価値観や態度、行動様式などの人格形成に関わる問題を扱うため、児童生徒理解は非常に重要です。
学級集団の中には、フォーマルな組織やインフォーマルなグループが存在します。インフォーマルなグループは、気が合う仲間や同じ興味を持つ者同士が自然に形成するもので、非常に結束が強いです。学級集団の中のこれらのグループを理解することは、学級集団をうまくまとめるために必要です。
学級集団の中の人間関係やグループの構造を明らかにする方法として、ソシオメトリックテストがあります。これは、児童生徒に「このクラスで仲良しは誰ですか?」や「誰と一緒に遊びたいですか?」といった質問をし、その結果をもとに学級集団の人間関係を図示するものです。この図をソシオグラムと言い、これを用いることで学級集団の人間関係やグループの構造を具体的に捉えることができます。