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対等な支援で進むリカバリー(社会福祉実践とは何か第7回)#放送大学講義録

ーーーー講義録始めーーーー

 

インタビュー:支援者との関係について

質問:
では、今度は、Yさんにとって支援者とはどのような存在だったのか、お聞かせください。

Yさん:
まず、病気になった直後は妄想もあって、自分の感覚に自信が持てず、「自分の感じていることは本当なのか」「自分の判断は正しいのか」といった不安で、何かを自ら決定するのが怖くなりました。そのため、私は臆病になり、自分で行動することができなかった時期がありました。そのような時、支援者である皆さんは、いつも変わらず静かに見守り、温かくクリニックで迎えてくださったのです。クリニックに行くと、本当に安心感を得られ、私の回復を信じ、願ってくださっていると感じることができました。これが、私にとって一番ありがたかった点です。

次に、クリニックのグループとセルフヘルプグループにおける支援者への見方についてですが、クリニック時代は、支援者は病院スタッフやサービス提供者という立場で、私たちは「お客さん」として受け身の関係にありました。しかし、セルフヘルプグループでは、誰かが一方的にサービスを提供するのではなく、参加者全員が主体的に関わり、回復を共に願う対等な関係が築かれました。支援者は、私たちと同じ病気を持っているわけではありませんが、人として成長し合い、共感しながら回復の過程を共に作り上げる仲間として感じられるようになりました。

ただし、セルフヘルプグループの立ち上げ当初は、クリニックのグループから自助グループへと移行し、私たち自身で運営していくという話を聞いた際、病気を抱えているのにこれ以上負担をかけられるのではないかという疑念もありました。受け身でいる方が楽だと思っていたため、一時は支援者に対して疑問を持ったこともありました。しかし、長い期間(約10年)関わる中で、支援者の皆さんが常に私たちのために尽力してくれていると信頼できるようになり、自分たちでグループを運営できたことが大きな自信につながりました。今では、セルフヘルプグループを作って本当に良かったと感じています。


【図表:支援者との関係の変遷】

  1. 初期段階(クリニック時代)
     - 受け身の関係(支援者=病院スタッフ/サービス提供者)
     - 自己決定が困難で臆病な状態

  2. セルフヘルプグループへの移行
     - 参加者全員が主体的に関わる対等な関係
     - 支援者と参加者が共に回復を願う仲間関係の形成

  3. 長期的な信頼関係の構築
     - 疑念や負担感から信頼へ
     - 自主運営による自信の獲得とグループの発展


このように、私にとって支援者は、単にサービスを提供する存在から、回復の過程を共に歩む仲間へと変化し、信頼と安心を得る重要な存在となりました。