「症状は予断を許しません」と、肉親を診察した医師に告げられた。それからずっと意識は戻らない。通常なら出来る限り付き添うのが、血の繋がる者としての願いである。ところがCOVID-19が蔓延している状態で、看病に行くのも殆ど出来なくなった。具合も電話やmailで医師から伝えられる有様。結局、肉親と一緒にゆっくり過ごせるようになったのは、亡くなり遺体となるまで出来なかった。ただ肉親の場合はまだ良い方である。告別式で気の済むまで過ごすことが出来たのだから。COVID-19で亡くなった人間について、遺体になっても付きそうことが出来ず、お骨の状態でしか会うことが出来なかったのだから。