ーーーー講義録始めーーーー
多様な教育資源の提供
図書資料室の活用
図書資料室では、近代以降の図書資料を中心に多数の図書資料を所蔵しており、公式の紹介では約5万冊規模の図書資料が挙げられています。 また、当館の刊行物や、たばこ・塩に関する専門図書のほか、博物館学に関わる図書、美術書、寄贈された図録、当館が紹介された雑誌、映像資料など、多様な資料が含まれることが示されています。
図書閲覧室は、まだまだ不完全ではありますが、たばこ・塩をテーマとした専門図書館としての機能を高め、調べ学習や研究の入り口となる場を整えていくことを目指しています。
文書類やタバコパッケージは収蔵庫で保管しているものもありますが、図書閲覧室では、所蔵資料を検索して申請のうえ閲覧できる仕組みが案内されており、資料へのアクセス性を高める工夫がみられます。
図書閲覧室にはスタッフがおり、レファレンスに対応します。スタッフが直接お応えできない内容については、担当学芸員へつなぐ運用があることも紹介されています。
イベントプログラム
講演会以外にどのようなものがありますか?
例えば、恒例の「夏休み 塩の学習室」というシリーズがあります。これは、夏休みの自由研究などの調べ学習に役立つように、主に小学生とその保護者を対象として、毎回異なるテーマで塩について解き明かす展示と、実験イベントを組み合わせて実施している企画です。
小中学生を対象とした実験イベントには、インストラクターによる実験ショーを見学する「塩の実験室」と、自分で実験をやってみる「体験コーナー」があり、年度の企画ごとに運用(回数・予約制など)が案内されています。
体験コーナーでは、たとえば「備長炭電池づくり」や「塩の結晶づくり」といったメニューが掲げられています。
ミュージアムショップ
ミュージアムショップを覗くのも楽しみにしています。
ミュージアムショップでも、関連する刊行物や商品等を扱い、展覧会やテーマに合わせた学びの延長として活用できるように工夫している様子がうかがえます。
例えば、夏休み企画の時期には、企画内容に関連する資料や学習に役立つ情報へと関心が広がるよう、来館体験と結びつく導線を意識した展開がなされてきたと理解できます。
これらの商品を購入して、私たちの継続的な学習に役立つと思います。
多言語対応とウェブ展開
外国人の来館者も結構いらっしゃいますね。
これまでお話しいただいたように、多様な来館者向けにいろいろな教育資源を提供されてきましたが、遠くにお住まいの方や来館が難しい方には、どのような機会を提供されていますか?
ウェブ上でも、館蔵資料を学芸員が解説して紹介する「Web展覧会」を公開しており、館外からでも学べる機会を提供しています。
また、Google Arts & Culture上でも同館のパートナーページがあり、コレクション情報に触れられる導線が用意されています。
さらに、公式のYouTubeチャンネルで展示紹介等の動画コンテンツを公開しており、オンラインでの情報発信を行っています。
公式X(旧Twitter)でも、展覧会や各種イベント情報を中心に発信していることが案内されています。
テレビ番組や雑誌などのマスメディアとの連携については、館としてプレス向けの窓口が設けられていること、また事業報告でも「メディア対応」に触れられていることから、外部への発信・対応も含めて運営されているといえます。
さらに、当館所蔵資料の画像貸出に関する案内があり、館外の展示や出版等で活用されうる形で、資料(画像)の提供が行われています。
多様なメディアを活用して積極的に教育資源を提供し、博物館内外での私たちの探求活動を支援していらっしゃったわけですが、今後の展望をお聞かせいただけますか?
今後の課題と展望
痛感するのは、アカデミックな知識、いわゆる大学では理解できないものがたくさんあるということです。タバコや塩といった日用品に、物質資料としてアプローチする研究は、歴史学や美術史では十分に行われてきませんでした。
一方で、産業に従事していた人々や在野のコレクターは、それぞれ独自の方法で驚くほどの知識を蓄積しており、多くの人の興味や感動を呼ぶような要素も含まれています。
しかし、こうした知識は、当然ながら分野外の人にわかりやすく整えられてはいません。学芸員には、こうした在野の知識を聞き取り調査などによって収集し、学術的・体系的な知識と有機的に結びつけながら提供していく役割があると考えています。
職人さん、製造や営業に従事していた企業OB、コレクターは、いずれも高齢化が進んでおり、情報収集は喫緊の課題です。
つまり、博物館は物質資料を収集するだけでなく、そこに付随する物語を、音声・映像記録・写真・文字といった二次資料によって補強していくことによって、物質資料の価値を上げていくことが、今後重要な課題になってくると考えています。
この二次資料が、教育資源にもなっていくのではないかと思います。
今回は、タバコと塩の博物館が提供する様々な教育資源について、同館の学芸員・青木さんにお話を伺いました。青木さん、ありがとうございました。
