セラピストは非日常的な治療空間を形成することが求められているのだなあと思う。
小野けい子。心理療法の器。治療的枠組。耳を傾ける。悪口などの否定的な感情の表明にも遮ることのなく。自由にして保護された空間。無意識の自己治癒力が働く。分析についてヒルマン。本質的な問題に焦点を。生の凡例となる。2人で顕に。邪悪な話題も。分析は左手の活動。タブーに関与。社会秩序は右手。分析は劣等な人間を顕に。右手が裁くことなしに。右手は決して左手を知らない。右手は意識や表や正統派を。左手は非正統な。ネガティブな人間の側面も扱う。クライエントの心の影の領域にも。開かずの小部屋に閉じ込められた葛藤などを声を発し始める。耳を傾け内面から生じるものをそのまま受け入れる。自由にして保護された空間。第一の器。器としてのセラピストと治療空間、治療枠組みを保護する。
心理療法は人間の持つ破壊的側面も。両者を保護して進むしっかりした枠組みが必要。フロイト以来、治療構造、料金などの設定。心理療法はプラスの側面も扱うが、破壊的側面からの保護、変容にするために枠組みを。20世紀の初頭にフロイトやユング。最初のうちはもっと自由だった。グロウス。真に創造的である。コカイン中毒に。ユングが分析。自分の持ち時間をすべて投入してかかりきりに。けれど分裂病の診断に至るが、精神分析にかけた情熱の強さが感じられる。しかし多くの経験を踏まえて面接場面の限定に。他者を援助するのは限定なしが望ましいとするのが一般常識。手痛い経験を、限定することの重要さを経験的に知る。アンナOの症例。ジョーンズによると激しい恋愛感情についても。面接場面を限定しないとき、クライアントにとり感情の対象者に。感情転移。できる限り限定し治療的に扱う。転移逆転移という現象。関係性で。心理療法にとって治療構造はセラピストを守るのみならず、治療関係を。相談室以外で会うことで複雑になってしまったり失敗になったり、枚挙にいとまがない。学校の先生や宗教家など対人援助をする人が転移現象に対し巻き込まれることが多い。時間延長などを安易に行ってはならない。
面接室。クライアントによりその場で表現されるのは、人に対し話さない恨みなどの否定的感情も。社会的タブーも否定されることのなくセラピストにそのまま受け入れられる非日常的空間。包み抱える限定したものとしての面接室。茶道の茶室。たいへん異なっているが類似性も。茶室に入ったことはない?お茶時は茶室に入るには待合で荷物をまとめて外待合で待っている。亭主が迎えを。手を水で清める。茶室に入るには小さな入口を。茶室の空間は四畳半が多い。交わされるのは清談。日常的な話ではない。身分の区別はなく、唐物やベトナム産も。海の広い世界を。現代においてよりも自由を保証された空間。密室であって外に閉じられた空間であることにより非日常的な自由な空間。固定した空間を生きる者にとり再生産の機会に。戦国の武将たちにとっては戦乱という日常を離れて非日常の世界に身を置く貴重な空間。一面性を緩めて自己治癒力で活性化を。現代というのは身分制度もなく情報も入るがかしましい。茶室も同じ意味を。茶道は禅と馴染みが深い。茶室は決まりの多い空間だけではない。面接室も密室であり外に閉じられた空間。非日常の自由な空間。クライアントの意識が一面的だったとき、何らかの変容をもたらすのが心理療法。閉じられ限定された空間に守られることによりタブーとなる問題だけでなく、クライアントの内面の世界が自由に動き出す。初期の面接の。歴史を踏まえて限定は双方を守るもの。限定によりかえって内界がプラスに表現、面接室について大場登が論じている。ケメロス。聖なる空間。神社仏閣の境内や教会。いくつもの鳥居で区切られる非日常の。一方的に強調すると神聖なものになってしまうが、逆の意味で社会の価値規範を超えて。神と悪魔は実はメダルの表裏。非日常の。結界によって日常と区切られる。異端の自分にも。面接空間を限定することにより機能を発揮。密室の中で。ユングは心理療法過程を錬金術に。色んな意味で似ている。錬金術師は変容過程を物質の変容に。器は完全に密封。語られたことは秘密とする。心理療法の器としてのセラピスト。面接室は密閉され外部の音は入らず内部の音はもれない空間であることが必要。外の話が入ると話が聞けない、外からの干渉は無くす必要が。物理的にも。はじめに外に漏れることはないことを伝える。犯罪と自殺についてはその限りではないが。外に出すことが必要でもあなたに話してから、とことわり治療関係を。
面接時間。心理療法においては両義的な意味を。面接時間を一定にすることでクライエントにかけがえのないものに。内面の課題に立ち向かうのは辛いことが多く、直面するのは難しい。時間の限定によりかけがいのない時間に。終わりの時間を設定した面談が何回も繰り返される。同時に繰り返し可能なものとして経験される。面接の頻度。あるリズムをもって継続。日本において心理療法の面接は45分から50分で周1回。ヨーロッパでは週2回以上も多い。フロイトは1回50分が週6回。エブリディアナリシス。休暇もない。ダットマンという症例では1年継続するなど。日本でもフロイトで週4回する人も。ユング派では1回45分から50分の。ヨーロッパでも大体は週1回。時間の限定された面接が繰り返す。かけがえのないものであるが繰り返し可能。時間が持つ特徴とも対応。再び訪れることのない時間、季節は移り変わる特徴。河合隼雄。心理療法における時間構造が時間の二面性を経験させるもの。矛盾からの緊張感。辛いことがあっても次があるからと待っている。時間が決まっているので忙しい時代にも終わりが決まっているので終わりまでは自分の時間だと、シャイな人も沈黙もしながら自分の時間を使う。繰り返し次の時間が保障。俗なる時間継続と聖なる時間。俗なる時間の継続に祭りのときが挿入され繰り返される。祭りのたびに100年前と同様の死と再生のときに立ち戻る。面接時間も聖なる時間として、死と再生の時間として挿入される。日常空間日常時間とのgapを。日常の空間に戻るとき、移動できないように感じる人も。茶室という特別な空間。荷物を置き手を清めてくぐって。帰りも同様にして日常に。心理療法は深い話に。日常空間を戻るときもそのまま入っていきにくいことが。治療空間というのは別の空間時間であるよう。お茶を飲んでから、電車で長い時間を。深い話になったときにはセラピストが日常の話題に戻すことも。
料金。セラピストとクライエントの対等性。人格の変容などの内的変革を。ただセラピストを聞くのとは違うので対等性は重要。治療契約は精神分析医療への意志の確認。支払いの契約。契約は元々は対等な者同士が。料金を支払うことで対等な関係が成立。クライエントがセラピストの対等なものとして。料金をもらうのが困難な機関もあるけれど。
心理学的に受け止められること。面接室面接時間料金の外的なもの。内的に受け止められることが。心理療法の守り。河合隼雄。心理療法が始まって良い関係が。しばしば病気などしていない子供が風邪をひく。外に対し心が開き始めているのと不思議に対応。集団場面では口を開かない子供が喧嘩をしたりする。自発的な力が出てきたことと対応。クライエント本人や家族が悪くなっていると重い治療をやめたりセラピストが過度に動揺したり。外界に生じていることも内的なことの変化と受け入れるよう。心理療法の器を内的に受け入れる。ある場合には面接室面接時間料金について枠が守れない時であったときでさえ。
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