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文学作品の論じ方(国文学研究法第4回)

文学に関する評論を読むのも勉強になるのだと思う。

 

島内裕子。文学作品の論じ方。前回の内容を。文学作品の本文、原文の文章が異なる。源氏物語や斎藤茂吉の短歌。最初に発表されたときと改訂版を。
どのような論点があるか。研究法の導入となるように。3つの柱から。様々な研究法として概要を。批評と研究という観点から評論家の。中野孝次の古典論。
様々な研究法。文学者の伝記や本文。文学作品の主体としての。作者の姿と作品の実態を。文学作品をどう論じるか。どのように全体を把握するか。国文学研究を志した時に。作品を過不足なく梗概を作成。作品に出てくる人物の系譜。作品の時間の流れを年表に。事典には梗概が。各巻の解説。梗概や系図など。詳しい年譜も。3つ揃うことによりより有効に謎を解く鍵に。あらすじ。現代人の目からすると言わずもがな?けれども物語を解く3つの鍵は始めからあるものではない。文学史を眺めるとあらずじ年譜と系図。人目で表す系図から。源氏物語の系図。院政期から。物語文学の本質が人間関係にあることを気づいていたから。南北朝時代の源氏大鏡や源氏小鏡。これらにより分かりやすく理解できる。十帖源氏。全体のあらすじを。挿絵も。場面の一覧も列挙されている注釈書も。場面の組み立ての整理。実質的にあらすじ。現在の注釈書でも小見出しを付けている。内容の展開のおおよそを理解できる。年立。修正が加えられている。物語文学であらすじ系譜年譜を確立したのは、内容の理解がスタートでありゴールであることを。古典物語や近代小説でも有効な手段。物語の世界を理解するのは必要な作業なので殆どの研究者が取り組んできている。取り組む余地はない?そうではない。頭中将。系図や年齢の矛盾。これからも新たに展開する可能性がある。登場人物たちの系図や年譜の作成を。あらすじをまとめる際には主人公に着目。人間関係を整理して本流が見えてくる。性格や取り巻く一人ひとりの役割を。人物論的な研究。和歌へ。古典和歌の分野では歌人相互の交流で解明。歴史学的な知見を文学研究に。その成果。歴史的事実の発掘。古典和歌以外にも文学全般に渡り応用が出来る。ある方法論が様々な分野に有効なことが普遍性を証明する。表現論の射程。文学作品の環境を歴史的な要素に求める。衣食住に着目した作品研究。文学作品の周縁。研究の過程で環境や描かれた場所を実地に確認する。それが実地研究。随時これまでの研究史を顧みて。注釈思想影響の3つのキーワード。注釈。長い研究蓄積がある古典では特に。先行研究を検索する手順を知っておくことが必要。古典は膨大な読者に。代表するのが研究者。読解につき発見した事実などを。800年以上の注釈の歴史が源氏物語ではある。古典文学の場合は端的に言うと、注釈行為自体が研究。自分なりの注釈を。どこが未解決なのかを。注釈書は叢書が何種類も。語釈や解説など。現代語訳なども随時。古典注釈シリーズは出版社も合わせて覚えておくと良い。同じ出版社からも。作品ごとの個別の注釈書が沢山ある。通読すると新しい問題意識や解釈がどの時代にも。研究史と自分が連なる。与謝野晶子の和歌、この世の初め。源氏物語の口語訳。栄花物語や和泉式部日記などを。平安時代の文学を。徒然草の口語訳も。創作活動だけでなく古典の解釈でも伝統を支える。室生犀星の箱に「黄金の針」。女性文学者の評伝、注釈への道程で思想に着目するのも重要。在来思想が流入。江戸時代には対決する国学も、西洋の思想も入ってくる。間接的にも影響を受けて多くの文学作品が。新しい思想が現れて解釈が変わったりもする。外国文学の受容。影響史研究。ある作品が時代によりどのように読まれたか変化を。作品自体を新たな光のもとで。学際的な研究。美術研究との融合など。徒然草は文学作品だが数多くの美術作品も生み出されている。どのような果実を?研究方法には様々なスタイルが。充分に応用も出来る。興味を持った作品や文学者に。新たな研究が始まる。
批評と研究。文芸評論家の古典論。読書界では研究書よりも文芸評論家の古典論が読まれる傾向がある?優れた古典論には?亀井勝一郎。「日本人の精神史研究」。四部作を。唐木順三。中世の文学。古典評論が広く読まれる。山本健吉。俳句評論などで。折口信夫門下。古典と現代文学という優れた文学論。同人誌「批評」。加藤周一。「日本文学史序説」。丸谷才一。これらの文芸評論は個性的な観点や表現が。日本文化論にも。大きな視野で精神史を。変わらないところと変わっているところ。不易と流行。変化と持続。トータルに。掴み取るために自分自身で読むことしか答えはない。難しいが現代にも読みつがれることが活力の源に。繰り返し読み自分の研究で参考になる小林秀雄。「無常ということ」など6編の。作品や歌人を。源平争乱から中世全般を。軍記物や和歌など文学ジャンル全般に。昭和17年から18年に雑誌に発表。戦時中の影響?徒然草。文章の達人と捉えた画期的な。直感だけで書いたのではなく、国文学者の注釈を読み込んでいる。其上で自分の考えを深める。「本居宣長」。65年から76年の雑誌掲載。この時期に筑摩書房から全集が。学術的な全集の刊行が思索と連動している。文芸評論と国文学研究の関係。文芸評論は自由な発想と独自の観点で?しかし優れているのは国文学研究の成果があることが多い。一見それと見えないのは論の流れが途絶えないように書いているから。大きな違い。つまり逆に研究論文には出来る限り注を。でないと論文にならない。
中野孝次の古典論。文学形成。出発点はドイツ文学。カフカなどの翻訳。その後は評論へ力点が。小説家評論家として執筆活動に。「清貧の思想」。中野孝次は単行本のタイトルに古典のタイトルを。「存命の喜び」など。古典の注釈書も表す、方丈記と徒然草。講談社文庫に解説が。古典注釈の前提で。評論家の古典論も大いに参考になることがある。原文そのものを熟読し先行研究を幅広く参照する、しかし柔軟運動として古典論も重要。長文評論を読むのは論の展開でも参考になる。中野孝次の「スラスラ読める方丈記」。原文には総ルビが。国文学の研究成果を下敷きに。末尾ではその他の研究書も参考文献に。文学作品は本文が全て。冒頭部の一節。

 

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