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老年期のパーソナリティと老性自覚(発達心理学特論第14回)#放送大学講義録

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さて、高齢になるとパーソナリティーは変化するのでしょうか。また、老年期のパーソナリティーには特徴があるのでしょうか。日本における1970年代から15年間の縦断研究によると、自己概念において、過去の自己評価は年齢が上がるにつれて肯定的な反応が増加する一方で、未来の自己評価は70歳時点では肯定的であったものが、80歳、85歳になると老化や死といった否定的な内容へと変化していました。

また、自我の強さに関して、自我機能が維持されている人に比べて、自我機能が低下した人たちの死亡率が高いことが示されています。さらに、自我機能が低下している人たちには、自己認知や身体的自己評価、現在の自己評価の肯定反応が減少していることが見られました。

次に、パーソナリティと長寿の研究をレビューした権藤恭之は、ビッグ5パーソナリティ尺度を利用した研究から、誠実性の高さ、開放性の高さが死亡率の抑制に関連していることを指摘しています。しかし、パーソナリティと長寿の関連が直接的なものなのか、その間に媒介要因があるのかは、まだ十分に明らかになっていないと述べています。また、パーソナリティは長寿だけでなく、社会経済的水準(SES)、幸福感や疾患などの様々な変数に影響を与えることから、その機能を解明する必要性を指摘しています。

内閣府の平成26年の調査によると、自分を高齢者と感じる年齢は70歳から74歳で、回答者の半数を超えていました。また、日本老年学会などの調査でも、高齢者と感じるときは体力が変化したと感じるときや、身体的な衰えを自覚するときが回答の半数を超えていました。自分が老いたことを自覚することを老性自覚と言います。老性自覚は、身体的な特徴や精神的限界によって自分の老いを自覚する内からの自覚と、孫の誕生や定年退職などの社会的な経験や出来事から自分の老いを自覚する外からの自覚に分けられます。

老化に伴う心身の変化は個人差が大きいとはいえ、年を取るということは、若い頃と同じように活動できなくなるということです。