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非言語的コミュニケーション技術 #放送大学講義録(認知行動療法第3回)

ーーーー講義録始めーーーー

 

基本的聴く技術の4要素

今回は、マイクロカウンセリングにおける非言語的コミュニケーション技術について解説します。これらは「基本的聴く技術」と呼ばれ、以下の4つの要素から構成されています:

  1. 視線の合わせ方

  2. 身体言語

  3. 声の調子

  4. 言語的追跡(広義には言語的技法ですが、ここでは基本的聴く技術の一部として扱います)


1. 視線の合わせ方

適度なアイコンタクトは、クライアントに「受け止められている」という感覚を与えます。

  • 望ましい例:話を聴く際に自然な頻度で視線を合わせる/過度に凝視しない

  • 避けるべき例:メモに集中して目を合わせない/常に視線を逸らす/凝視しすぎて不快感を与える


2. 身体言語

姿勢や表情は、言葉以上に強いメッセージを伝えます。

  • 望ましい例:関心を示す前傾姿勢/受容的で穏やかな表情/開放的な姿勢/適切な距離感

  • 避けるべき例:腕組み/だらけた姿勢/時計を頻繁に見る/不機嫌そうな態度


3. 声の調子

声の調整は、相手に安心感を与える要素です。

  • 調整ポイント:聞き取りやすい音量/理解しやすい速度/落ち着いたトーン/自然な抑揚

  • 注意点:早口は焦燥感を与える/大声は威圧的に感じられる/小声は安心感を与えにくい


4. 言語的追跡

「verbal following」は、クライアントが話している話題を尊重し、流れに沿う応答をする技法です。

  • 適切な例:話題を継続して質問する/共感的応答を返す/相手のペースに合わせて展開する

  • 避けるべき例:発言を遮る/唐突に話題を変える/自分の関心で話を進める


映像分析の重要性

これらの技術を学ぶ際には、良い面接例と不適切な面接例を比較することが効果的です。録画や録音を用いて自己分析・教育的分析を行うことが推奨されます。

  • 不適切な面接例:視線を合わせない/だらけた姿勢/話を遮る/威圧的な態度

  • 適切な面接例:受容的な態度/自然な視線/共感的な身体言語/相手のペースに沿った応答


実践的な自己点検方法

日常の面接で以下を実施することが推奨されます:

  • 録音・録画を用いた自己評価

  • 同僚やスーパーバイザーからのフィードバック

  • クライアントの非言語的反応の観察

  • 面接後の振り返りによる改善点の抽出


まとめ

非言語的コミュニケーション技術は、言葉以前にクライアントとの信頼関係を形成する基盤です。これらを意識的に実践することで、認知行動療法をはじめとする心理療法全般の効果を高めることができます。次回は、言語的コミュニケーション技術について学んでいきます。