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言語的コミュニケーション技術 #放送大学講義録(認知行動療法第3回)

ーーーー講義録始めーーーー

 

発言内容における面接技術

前回の非言語的コミュニケーションに続き、今回は言語的コミュニケーション技術について解説します。これらは、具体的な発言内容や言葉の使い方に関する技術です。


1. 質問技法:開かれた質問と閉ざされた質問

閉ざされた質問(Closed Question)

  • 「はい」「いいえ」で答えられる形式。

  • 例:「認知行動療法の学習は楽しいですか?」

  • 利点:特定の情報を効率的に収集できる

  • 欠点:会話が広がりにくく、深い思いにアクセスしにくい

開かれた質問(Open Question)

  • 自由に答える形式。

  • 例:「認知行動療法を学んでどのような感想を持たれましたか?」

  • 利点:クライアント主体の発話を促す/感情や思考にアクセスしやすい

  • 留意点:「なぜ〜ですか?」は批判的に受け取られる可能性があるため、慎重に用いる


2. 励まし技法(Encouragers)

相手が話を続けやすくするための短い応答。

  • 具体例:相づち(「はい」「そうですね」)/短い繰り返し(クライアントのキーワードを反復)/促し(「それで?」「続けてください」)

  • 効果:安心感を与える/発話を継続させる/関係性の温かさを伝える


3. 言い換え技法(パラフレーズ)

クライアントの発言を整理し、自分の言葉で言い換えて返す技術。

  • 手順:内容を理解 → 伝えたい意味や感情を把握 → セラピストの言葉で表現 → 理解の一致を確認

  • 効果:自己理解を促進/セラピストの理解を検証/思考整理を支援/協働的関係を強化


4. 要約技法(Summarization)

比較的長いやり取りを整理して返す技術。

  • 特徴:会話の要点を振り返り共有/次の段階に進む前の確認に有効

  • 活用場面:面接の区切り/複雑な話の整理/セッション終了時


5. 感情反映技法(Reflection of Feeling)

クライアントが表現する感情をとらえ、言葉で返す技術。

  • 方法:直接的感情の反映/非言語的感情の言語化/潜在的感情の推測と確認

  • :「悔しい思いをされたのですね」「不安が強いようですね」「嬉しいが戸惑いもあるのですね」

  • ※Carl Rogersの「共感的理解」を具体化する技法のひとつ


技術統合の重要性

各技術は単独で使うのではなく、状況に応じて統合的に活用することが重要です。

  • 面接の流れ例

    1. 開かれた質問で話を導入

    2. 励まし技法で継続を促す

    3. パラフレーズで理解を確認

    4. 感情反映で気持ちに寄り添う

    5. 要約で整理し、次のステップへ


自己点検と継続的改善

技術を効果的に活用するためには:

  • 録音・録画で質問や応答パターンを客観視する

  • 開かれた質問と閉ざされた質問のバランスを確認する

  • クライアントの感情表現に敏感である

  • 実践を重ね、継続的に技術を洗練させる


まとめ

言語的コミュニケーション技術は、認知行動療法をはじめとする心理療法の効果を高める重要なツールです。これらを意識的に練習し、自らの関わり方を振り返り続けることで、より効果的な面接が可能になります。次回は、動機づけ面接の理論と実践を学びます。

 

 

 

 

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