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人間関係論から認知革命へ #放送大学講義録(産業・組織心理学第1回その4)

ーーーー講義録始めーーーー

 

人間関係論の発展
人間関係論はまず職務、すなわち仕事への動機づけに関する研究へとつながりました。動機づけの源泉となる欲求の分類、目標設定の効果、職務満足感や組織コミットメントに関する研究へと広がっていきました。

また、従来は政治学や社会学で扱われることが多かったリーダーシップ研究も、Kurt Lewinが提唱したグループダイナミクスの影響を受けて発展し、組織における効果的なリーダー行動に関する研究へと展開しました。こうした心理や行動特性に注目する研究の活性化は、産業・組織心理学の新たな発展を開くことになったのです。


Maslowの人間性心理学
人間関係論的アプローチに強い推進力を与えたのが、アブラハム・マズローの人間性心理学です。彼は1954年に出版した『Motivation and Personality(邦訳:人間性の心理学)』で欲求段階説を唱え、自己実現の欲求を最も高次で人間的な欲求と位置づけました。


組織を「脳」として捉える視点
心理や行動の研究はさらに進展し、多様な組織観を生み出しました。その代表例が「組織を脳として捉える」視点です。1950年代以降の情報処理研究は1970年代に「認知革命」と呼ばれる発展を遂げ、組織の意思決定やコミュニケーションへの関心を高めました。ここで重要な役割を果たしたのが、コンピューターに基づく情報処理モデルであり、心理学と経営学を結びつける理論的基盤となりました。

1947年にはハーバート・サイモンが『Administrative Behavior(経営行動)』を、1958年にはサイモンとジェームズ・マーチが共著で『Organizations(オーガニゼーションズ)』を出版し、組織における意思決定理論を提示しました。

彼らは、組織を構成する人間は誰もが意思決定者であるとし、人間の認知能力には限界があるため、組織の意思決定は「限定合理性」に基づくと指摘しました。つまり、人間は完全に合理的な最適解を求めるのではなく、感情や情報処理能力の限界のもとで「満足できる水準(satisficing)」の意思決定を行いやすいのです。

この考え方は、組織を脳に例える比喩的理解を促すと同時に、組織でより合理的な意思決定を行う必要性を改めて強調し、合理的選択理論や意思決定理論の発展につながりました。

 

 

 

 

 

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