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「読み」と「問いかけ」「語りかけ」(心理カウンセリング序説第7回)

私もカウンセリングをしてもらったことがあるが、セラピストは極めて大変な心的作業をしていることが改めて理解できた。

 

セラピストの心の中に疑問符が。さらなる検討が必要とされるサイン。理解するための大切なサイン。すぐに率直に問いかけをする?しばらく心に留めておくか、タイミングも大事。定まった技法はない。ケースバイケースとしか言いようのない。展開の中で臨床的な場。いつ話題が出るか、つぶさに検討。分からないことがあればシンプルに問いかけたい。カウンセリングの基本は、クライアントが率直に語る場を作り出すこと。内的な探索探求。セラピスト側の読みや仮説、疑問符。どのように感じているかを問いかけて教えてもらう。読みに基づいて問いかけ、クライアントに考えてもらい、セラピストも読みの修正を。河合隼雄先生。意味を閉じられた猟奇に閉じ込めるのではなく、領域を開き拡大する。共に歩く。語りかけ。味わい深い。読みに裏付けられた語りかけ。
臨床例。Aさん。17歳。専門的に学んでいる楽器を演奏すると震える。交流過程。3ヶ月経過。話してしまったのか、ゆっくりな話し方が顕著に。特有の話し方。母親との相互関係?関係性の中核的なテーマに。在る物語の感動を上手く話せなくて中断してしまった。母親は情緒を受け止めるのが不得意?情緒の乏しさ。自分の感情に自信が持てない、自分の感情に自身が持てないけれど、話せるように。間を埋めようとしている自分の動き。先取りする母親との関係が転移?2人の間で起こったこと。言葉の間隔が長い、文章完結まで時間がかかる。何を言おうとしているか曖昧模糊に。頭の中は間を埋めてしまう。途中で語りかけてしまう。母親の助けを得ても本当に必要なものではない。読みのズレ。ズレた関わりが起こっていた。自己間が乱れて自分の言葉が見出しづらかった。セラピストは密着した関連性と母の感情の乏しさ。Aさんにはまだ実感されていない関係性。いくら言葉にしても過剰な関わりになってしまう。母親との関係性を繰り返すだけ。Aさんが本当の安心感を得られなくなっている。自分らしさへの応答性を、ゆっくりユックリ待つしかない。面接が7ヶ月経ってから。先取りしないで待ってもらう関係性、実感を込めて話すようになった。ネガティブな関係についても。失っていた自分の言葉を探すこと、共通の話題として話せるように。表現することが苦手。どういう感じ、と連想をさせる。自分がどういう人になりたいか、話す内に時間切れに。自分の考えを調製しているという感じを。ぴったりしないから黙っている。舞台に居た夢を報告、大げさに思い切り表現してみようと思った。自分の言葉を探し始めると母親との関係も。助けてくれるだけではなく侵入的であるというイメージを語れるようになった。自分の考えを上手く表現できないから母親に分かってもらえない。母親への実感がこもった気持を。母親との出会い。Aさんのものをとってしまう過剰なイメージ。気持や行動を母親が奪ってしまう。自分で感じる暇を持てない。黙ってしまうことで関係を絶ってしまう引きこもってしまう自分。飛び降りる時に母と手をつないで降りた、力を緩めると無事に着陸できた。それまでAさんは現実に触れる前に、母の運転する車で高速道路を。道がないので現実に降りていった。途中で姿の見えない他者の声で力を抜く。セラピストの関係を主体的に気づいている。1年以上になった頃、間の開いた話し方は自分を探すためだった。侵入的な母親から防衛する手段。自分の言葉で語り始める。侵入されないように自分のペースを作るようになった。自然と話し合うことが出来る段階になった。話すことって?思っていることが上手く言葉にできない、話が他者に伝わっているかどうかが心配。次々とは話せない。ユックリ話すのはじっくり考えながら?そうだと思います。違うと思ったら言葉に出来なかったけれど。独特なユックリな表現について。Aさんの臨床プロセス。
23歳のBさんの臨床例。頑張り屋だが無気力に。話しまくる。過剰な能動性。2ヶ月かけて気づきを。Bさんに急き立てられている。共感性の感覚を維持できない不全性を。疲労を感じる。しっくり行かない感じ。人との関係性について探索。珍しく息継ぎをするために言葉が途切れる。語りかける。ゆったりと残念な気持を味わうように。語りかけの意味。間があった時に話しかける。語りかけ方がBさんと全く違う。もっとゆっくりな残念な。味わいながら。介入に、え、と。表情が柔らかくなる。そうなんです、と肯定。Bさんが過剰に話すのは邪魔されたくないのでは、という読み。瞬時で確実に修正を余儀なくされる。Bさんは語りかけを本当は待っていた?受け取り方、感じ方が変わる。関わってもらうことを喜んでさえいた。依存を相手に向けても受け止めてもらえないかが不安。新たな読みを出発点に。2人で共有。その時々の素朴な問いかけ話しかけを通じて、心のスペースが生まれる。内心では助けを待っていたのに、客観的に話すBさんに。背後に母との経験で。Bさんは思春期に海外に。人種差別を背景にしたいじめ。母親が適切な体験をしなかった、傷になる。国の言葉を話せなかった母親、見て見ぬふりをしてしまった。人種差別に加えて母がサポートしてくれなかったことで。頼りたくなればなるほど得られないというフレームが出来てしまった。応じてもらえないことを先に察知して自分でやるしかないという強さが防衛的に築かれてしまった。ハードルの高いものを求めるようになった。突然無気力になって部屋から出られなくなる状況に。たくさん話し続ける。そうした話し方の特徴、時を得て特徴を2人で眺める。話し方の特徴。Bさんの心の有り様であることを共有出来るように。自分での実感を。自分を保てる自信に。
AさんとBさんの話し方。セラピストがおや、と疑問符を。読みに繋がり、問いかけ話しかけが、修正があってまた読みを。その中で興味深いのは、話し方の特徴に一緒にそれについて話し合えるときが来る。生き方や人との関係が。依存関係で身につけた関係。振り返ることが出来ることが心の深い気付きに。症状が気づきと共に治まっていった。セラピストの読みと語りかけ。語りかける内容自体も大切だが、語りかける時にどのような話し方で話しかけるのかも重要。ゆったりと?小さい声で?情緒状態にマッチした?マッチすると実感を持ってもらう。衝動状態の一致、反面、セラピストが語尾を若干上げ気味にするなど。一部はピッタリしているけれど、少し広げる可能性を。内容をどんなリズムで、抑揚に乗せるか、少し意識してみると色んな気付きが。語りかける内容や語りかけ方も。もっと大事なのは語りかける時にどんな思いをいだきながら語りかけているか、本当にそういう思いを抱いているか、表面的に応答しているか?セラピスト自身の心象が外に出てしまっていることが、クライエントにも伝わる。普段の自分の有り様も理解しておく必要がある。真摯さが含まれていてクライエントに伝わっているということは重要。

 

心理カウンセリング序説 (放送大学教材)

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