今秋は百田尚樹氏の「幻庵」という文庫本を読んでいた。(Amazonで検索したらリイド社から蕎麦屋さんの物語も出ているようで驚いた)
江戸時代の碁打ちが死闘を繰り広げる物語なのだが、互いに最善を尽くしている局面で一方が妙手を打ち、それから形勢が変わっていく場面が何度も出てくる。この物語だけ読んでいると、一局の碁で妙手が頻繁に出ていると考える人も出て不思議はない。しかしこの物語に出てくるのは誰も彼も名人級の打ち手であるから妙手が頻繁に出てくるのであろう。今では妙手なんてなかなか出て来ない。形勢が変わるのは他方が打ち損じをしたことが原因になっているのが殆どである。今ではミスをしない方が勝つというのが囲碁の常道になっている。良いのか悪いのか分からないが。