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ポストコロニアル批評(1) -「ペンによる帝国の逆襲」(文学批評への招待第13回)

小説の書き換えは乱暴かもしれないが、それをしなければならない必然性は否定できないのかもしれない、

 

木村茂雄。合成語。植民地時代の後の。旧大英帝国の植民地。30年時点で85%が西洋の支配の。独立を勝ち取った第二次世界大戦後とポストコロニアルの時代。政治的独立と新しい思想が連動。しかし狭く定義することは問題。独立以前から。新植民地主義やグローバル化の。終わったのかと誤解が出てくる。より生産的な意味。新しい意味を。植民地主義に批判的な知性の在り方。バーバ。現在をポストに変えようとする衝動。未来のこちら側に、未来が手の届かないものではなく実現可能な未来。ポストコロニアルという言葉は乗り越えを意味する。
植民地支配と言語文化。ヨーロッパ諸国の軍事力を前提にしていた。支配者たちは言語支配の意識が。キリスト教の布教活動も含まれるが。言語を広めようとする運動も。公用語。状況とも関わる。1492年の発見。近代植民地主義の、同じく1492年にスペイン語の文法書が。英語の場合は1801年に英語教育は大砲よりずっと効果的と。実際に制度化する役割を。マコーディ覚書。インド人に英語教育を。通訳と成る階級を作り出す。主義考え方や道徳性知性においてはイギリス人に。1857年に大学の設立。英語による教育。言語と文化、思想には密接な関係が。英語の優位性の主張、インド文化やアラビア文化への蔑視。言語をどのように使うかは大きな問題。土地による違いが。インドやアフリカには土着の言葉が残っているので選択の問題が。土着の言葉で書く。86年に「精神の脱植民地化」。外国語で書き続けることは植民地主義の精神を。母語で書くことを宣言。一般の大衆に広く語りかける。「崩れ行く絆」。英語は想いを担う言葉。革命後は新しい英語でなければならないとしているが。究極の選択。英語で書かれたポストコロニアル文学が注目。本場の英語ではなく変化を受けている。シングリッシュなどの例が。日本人の英語。世界に通じる英語を。日本人英語は必要かが問題に。
植民地主義の影響はより広い範囲に。植民地支配は人種観などが。トリニダッドの港。インド人が自分の手伝いとして1人の白人を。脱獄した囚人?同情を感じる。インド人が白人を雇うのはもってのほかと黒人の子供が。植え付けられたものに疑問符を。人種などの観点をいつの間にか身につけている。支配的人間関係が社会に浸透し色眼鏡をつけさせている。殖民地言説の目的。
殖民地言説分析。サイードは「オリエンタリズム」の意味を3つに。西洋の東洋研究の捉え方。文学などでの東洋の表象。言説が現実の植民地支配との関係。18世紀から19世紀にかけて東洋に植民地を。冷戦時代を背景に地域研究に引き継がれる。文学やジャーナリストにおける表象も東洋研究に関連。フランス文学とイギリス文学が分析対象に。サイードはイスラム圏に焦点を。西洋にとり古くから他者として重要だった。パレスチナに生まれたという背景も。サイード自身、強力な研究が影響。長年にわたりパレスチナ問題に関与。「パレスチナ問題」「イスラム報道」。パレスチナ問題やイスラム表象の問題と共通の関心を。極めて現実的な問題提起。研究と現実との関わりはポストコロニアルの特質。中立的な言葉?サイードなどのポストコロニアル批評は権力性を。オリエンタリズムの言説と現実の植民地支配との関係。東洋に関する研究や文学は東洋の土地が西洋支配にあったというのは前提。サイードの分析はフーコーの言説を援用。序説の中で「監獄の誕生」を参考にして。サイードにも批判が無かったわけではない。政治的批評への反感。特定の文学作品の解釈が不充分。サイードが取り上げているテクストは膨大なのでやむを得ない。東洋は西洋に表彰されるだけで無抵抗だったのか。表象の力は否定できない。西洋的な人種差別観が。非情に強力な言説を受け入れ自分の一部に。植民地主義を内面化するプロセス。サイードの本があまりにも無抵抗な存在としているのが問題。自覚していたようで「文化と帝国主義」を。フーコーは近代の権力を強力なものとして抵抗を奪っているという批判を。あくまで西洋の権力的な。敵のことをよく知っておかなければ。
ポストコロニアル文学や批評。同時並行的に。「崩れ行く絆」。コンラッドのアフリカ表象を厳しく批判。一般に文学批評の場合、文学から解釈が。ポストコロニアル批評や文学の場合は立体的に進められる。一体的でダイナミックな展開が魅力。Europaの文学を書き換える。ポストコロニアル作家とEuropa文化の問題。ヨーロッパ文学もしばしば避けて通れない。アイルランドの詩の一節から。伝統的な文化の破壊の。闇の奥の書き換え。それへの応答。60年の「孔雀の宮殿」など。シェイクスピアの「テンペスト」などが書き換えの対象に。「ロビンソン・クルーソー」の書き換え。アパルトヘイトの時代から鋭く批判。03年にノーベル文学賞を受賞。デフォー。普通名詞として敵の意味。原作には登場しない女性が。島にたどり着くところから。ロビンソン・クルーソーは無気力な人物として。舌を切り取られ。スーザンは体験談を書いてもらおうと訪ねるが、冒険物語に書き変えてしまう。フライディーの沈黙は何を意味する?発話の可能性も暗示。海底に沈む難破船。流れは北へ南へ流れていく。声のない発話。自己表象を奪われた者の発話の可能性。あくまでも西洋の文字文化から教育しようとして失敗している。書き換えの文学。「ジェーン・エアー」を書き換えた。ヒロインに焦点を絞る。そもそも人種的に白人でありながらクレオール。完全に同化が出来ない。かなりの黒人贔屓?子供の頃、何故私だけ色白で金髪なのか。黒人贔屓。リースは本国へ教育に。しかし敵対感は捨てきれなかった。リースはイギリス人は大嫌いだと罵ったと記事に。こんな騒動を起こす。ファイティングスピリットは原動力?黒人の幼馴染になれたかもしれないがなりきれなかったアントワネット。黒人対白人などの二項対立にならない文学の深さ。「屋根裏の少女」などの書き換え。ジャマイカの事を口にする、如何に酷いところだったかを。西インド諸島の思い出を語る。西インドの蛾を思い出す。サルガッソーのヒロインにはエピソードが。大きい蛾が飛び込み床に落ちた。怪我したというより目を回したよう。暗い蝋燭の光。鋭い感性を持った人間に書き換えている。カリブの自然やアントワネットが持つカリブの自然に。強く揺さぶられる。微笑む愛に導かれるなら共に生きることが出来たかもしれない。夜にはいつだって終わりが来る。裏切り者の私は。絶望の直視にはあまりに正気。サルガッソーのヒロイン。回想で多くの船を難破させる。あくまで仮定法だが可能性があった。棒に振った自分の反省を。ロジェスターを敵とするのではなく一人の人間として。
異なる文化が接触する。異文化間の交流で新しい文化が生み出される。サイードは最も重要な課題は他者を抑圧しない自由な立場で研究すること。課題が乗り越えられると二項対立的な図式は解消される。ユートピア的ポストコロニアル的感情。

 

文学批評への招待 (放送大学教材)

文学批評への招待 (放送大学教材)

  • 作者:丹治 愛,山田 広昭
  • 出版社/メーカー: 放送大学教育振興会
  • 発売日: 2018/03/01
  • メディア: 単行本
 

 

 

英語文学の越境―ポストコロニアル/カルチュラル・スタディーズの視点から

英語文学の越境―ポストコロニアル/カルチュラル・スタディーズの視点から