ーーーー講義録始めーーーー
周辺の関係者や専門家からの情報収集は非常に重要ですが、実際のところ、情報収集は容易とは言えない状況が多いです。例えば、地域の福祉機関や行政機関など、関与している組織から情報を得られる場合もありますが、現場で働いていると、どこにも繋がりがなく、地域の中で孤立して暮らしている方が非常に多いと感じます。そのような方の場合、周囲から情報を得るのは難しく、住んでいた家からできる限り情報を収集し、どうすればよいかを検討する必要が増えてきています。孤立している方に関しては、不動さん(※インタビュー対象者)が既に経験されている通り、関係者がいない状況でうまく支援を行うのは困難です。
このような状況で、支援者が感じる苦労について、2点ほど挙げさせていただきます。まず、意思決定が困難な方について、もし本人が意思決定できた場合はどう考えたのか、その想いがわからない中で支援を進めなければならず、その結果、本人の人生に関わる大きな問題(例えば、本人の意思や遺族の宗教、亡くなった後の対応など)を判断するのが非常に難しいという葛藤があります。もう一つは、もっと早い段階で誰かが関与し、その方と繋がっていれば大きな問題に発展する前に解決できたのではないか、という後悔や悔しさを感じることです。