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身元保証なし患者支援ガイドライン(社会福祉実践とは何か第8回)#放送大学講義録

「身元保証がない方の入退院支援ガイドブック」は

https://www.jaswhs.or.jp/images/NewsPDF/NewsPDF_69tjLpn6Jrq5EM9x_1.pdf

 

ーーーー講義録始めーーーー

 

上記の事例のように、身寄りがない方、あるいは実質的にその状態にある方は少なくなく、むしろ今後増加すると考えられます。このような状況は、社会的排除や権利侵害につながる恐れがあるため、医療ソーシャルワーカーの職能団体である日本医療社会福祉協会は、「身元保証がない方の入退院支援ガイドブック」を作成しています。以下、そのガイドブックの内容について説明します。

【医療機関が保証人に求める役割(6点)】

  1. 医療行為への同意
      例:手術や薬剤の投与などの侵襲的医療行為に対する同意。
  2. 入院・入所費用の未収金に対する責任
  3. 身の回りの支援
      例:日用品の購入など。
  4. 退院後の生活支援
      例:就労先の確保、葬儀や遺品の処理、埋葬などの対応。
  5. 緊急連絡先の提供
  6. その他、必要な支援事項

また、身元保証がない人への対応について、ガイドブックは以下の3点を示唆しています。

  1. 身元保証が本当に必要なのか、実質的に検討する。
  2. 医療ソーシャルワーカーが関与することで解決可能な部分があるため、院内外に働きかけ、役所や社会福祉協議会などと連携して支援体制を構築する。
  3. 貢献制度など、法律や社会制度の改革を進め、不利益を被る人をなくす。

事例で見てきたように、さまざまな問題や困難、権利侵害のリスクがある人への支援は、本人、家族、友人、関係者、医療スタッフと協議しながら、本人の最善の利益を模索して進める必要があります。さらに、同じ状況にある入院患者に対して組織的に対応できるよう、権利侵害が生じないよう院内ルールを文書化し各部署で共有するなどの組織レベルの対策も重要です。加えて、地域の関係機関との協議の場で、身寄りのない方の支援事例や経験を情報交換し、学習会や支援ガイドラインの作成を進める動きもあります。このように、個人や家族への支援(ミクロ実践)に加え、地域への働きかけ(メゾ実践)や制度・社会意識への働きかけ(マクロ実践)を連動させ、チームアプローチやネットワークとして取り組むことがソーシャルワークの特徴です。