F-nameのブログ

はてなダイアリーから移行し、更に独自ドメイン化しました。

メタボリックシンドローム徹底解説(健康長寿のためのスポートロジー第5回)#放送大学講義録

ーーーー講義録始めーーーー

 

今回は第5回「メタボリックシンドロームと全身の脂肪」をテーマにお話しします。
近年、いわゆる「メタボ健診」が義務化されたこともあり、「メタボリックシンドローム」という言葉は大変一般的になってきました。

「メタボリックシンドローム」は、和訳すると「代謝症候群」といい、内臓脂肪型肥満(腹部肥満)を共通の要因として、以下のうち2項目以上を合併した状態を指します。

  1. 高血糖(空腹時血糖値が高い)

  2. 高血圧

  3. 脂質異常症(高トリグリセライドあるいは低HDLコレステロール)

本番組では、この代謝症候群のメカニズムを解説するとともに、食事や運動がどのように予防・改善に寄与するかについてもご紹介します。

さて、皆さんは「メタボリックシンドローム」と聞くと、まず「肥満」を思い浮かべるのではないでしょうか。確かに、お腹の周りに脂肪が蓄積した状態は、外見からもわかりやすい兆候です。しかし、肥満イコールメタボリックシンドロームではありません。肥満から代謝異常に至るまでには、さまざまな内分泌・代謝メカニズムが関与しており、個人差や症状の現れ方(様態)にも幅があります。今日の講義を通して、そうした背景まで含めて理解を深めていただきたいと思います。

それでは、まず国内の動向を確認しましょう。

図1説明:
以下のグラフは、平成7年(1995年)以降の

  • 20~60歳代の男性における肥満者(BMI≧25 kg/m²)の割合

  • 20歳代の女性における痩身者(BMI<18.5 kg/m²)の割合

  • 40~60歳代の女性における肥満者の割合

を時系列的に示したものです。

  • 男性では、年齢を問わず肥満者割合が増加傾向にあります。

  • 一方で、女性20代では痩身者が年々増加し、特に若年女性のやせ志向が顕著です。

  • 女性40~60歳代では、緩やかに肥満者割合が増加しています。

このことから、メタボリックシンドロームの罹患リスクが高まっているのは主に中年期の男性であり、彼らの内臓脂肪蓄積が、代謝症候群の増加に大きく寄与していると考えられます。