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沖縄県民の高脂質食と健康影響(食と健康第1回)#放送大学講義録

ーーーー講義録始めーーーー

 

沖縄県民の食事内容と健康影響

まず、沖縄県民の1日あたりエネルギー摂取量は、男女とも全国平均を下回っています。にもかかわらず肥満率が高い理由を探るため、次に脂肪エネルギー比率(総エネルギー摂取量に占める脂質由来エネルギーの割合)を見てみましょう。

男女ともに脂肪エネルギー比率は30%前後と全国平均(20~25%以下が望ましい)を大きく上回っています。これは、総摂取カロリーは抑えつつも、脂質に富んだ食事を多く摂っていることを示しています。

背景には、1972年の日本復帰まで27年間のアメリカ統治期にファストフードや加工肉など脂肪分の高い食品が普及し、その食習慣が定着した影響があると考えられます。

このような食生活の変化は、1970年代には全国最下位だった糖尿病死亡率が、21世紀に入ると男女ともに全国1位に上昇した事実にも表れています。食事内容の欧米化—特に脂肪摂取比率の上昇—が、沖縄県の平均寿命伸び率の鈍化や生活習慣病の増加を助長したと考えられます。

また、日本全国を見渡しても、男性の35%・女性の42%が脂肪エネルギー比率30%以上であることから、脂質過多の傾向は全国的です。特に女性は総エネルギー摂取を控えつつも脂質比率が高いという特徴があります。

日本型食生活の「和食」は世界的に健康食として高く評価されていますが、脂質比率の上昇によってその健康価値は徐々に揺らいでいます。今後は、脂質摂取を適正化し、真の日本型健康食を受け継いでいくことが重要です。