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沖縄県平均寿命首位陥落の背景(食と健康第1回)#放送大学講義録

ーーーー講義録始めーーーー

 

しかし、このような食生活の変化が日本人の健康寿命に直接影響を及ぼしたのか、それほどでもないのかを評価するのは非常に難しいことです。

ご存じのとおり、日本は世界有数の長寿国で、平均寿命は男性が約81歳、女性が約87歳と、男女でおよそ6年の差があります。65歳以上が全人口の約30%を占める超高齢社会でもあります。そこで、日本人の平均寿命の地域差からこの疑問に迫ってみましょう。

以下の図は、都道府県別の平均寿命順位の推移です。1985年までは沖縄県が男女ともに全国1位の長寿県でした。新鮮な海産物を中心とした食文化や温暖な気候が要因と考えられてきましたが、男性は1995年に、女性は2010年に首位を明け渡しています。特に男性の順位低下は顕著で、2005年には全国平均付近、2020年には下位に近い位置まで落ち込みました。女性も3位→7位→16位と順位を下げています。いずれも平均寿命自体は上昇を続けていますが、沖縄県の伸びが他県よりも緩やかだったことがわかります。

次の図は、沖縄県民の年代別肥満者割合を示しています。肥満の指標として用いられるBMI(Body Mass Index)は、「体重(kg)÷身長(m)²」で計算し、日本ではBMI25以上を肥満と判定します。図を見ると、男女ともに20代を除くすべての年代で全国平均より沖縄県の肥満率が高く、50代男性では50%以上が肥満に該当します。こうした高い肥満率が、沖縄県の平均寿命伸び率が穏やかだった要因の一つかもしれません。