ーーーー講義録始めーーーー
日本人の食生活とエネルギー摂取の変化
まずクイズ形式で考えましょう。1950年の日本人の1日あたりエネルギー摂取量(食事由来)は約2,098 kcalでした。では、2020年代の平均摂取量はどのくらい変化しているでしょうか?
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大幅に減少
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約1.2倍
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約1.78倍
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2倍以上
多くの方は「飽食になったから4番」と予想しますが、実際には 近年は2,000 kcalを下回ることもあり、むしろ減少傾向です。つまり、生活習慣病増加の主因は「量」ではなく「質」の変化にあります。
食の「質」の変化:PFCバランスで見る栄養構成
1946年を100として、以下の摂取量変化を見てみましょう。
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動物性タンパク質:約4倍増加
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動物性脂質:約5倍増加
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炭水化物(糖質):ほぼ横ばい~減少
特に動物性脂質の増大が最大の変化で、P(Protein:タンパク質)・F(Fat:脂質)・C(Carbohydrate:糖質)の比率を示すPFCバランスでは、脂質比率が大幅に上昇しています。
魚介由来のn-3系多価不飽和脂肪酸は健康効果がありますが、魚介類摂取量は1965~2005年で約25%減少。一方、飽和脂肪酸を多く含む畜産由来脂質は約2倍に増えました。
このように、カロリー量は横ばいでも、脂質・タンパク質の質と比率が大きく変化したことが、日本人の健康課題を考えるうえで重要です。