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メタボ誕生の背景とリスク増加(健康長寿のためのスポートロジー第5回)#放送大学講義録

ーーーー講義録始めーーーー

 

それでは、「メタボリックシンドローム」が登場し、注目されるようになった背景を整理しましょう。


近年、糖尿病・脂質異常症・高血圧などの生活習慣病が「同時に」発症しやすいことが疫学的に明らかになり、大きな注目を浴びるようになりました。これらは本来それぞれ別の疾患ですが、実際には同じ人に複数合併する例が多い。そこで「共通の原因因子があり、それが各疾患を同時に引き起こしているのではないか」という仮説が立てられました。

さらに解析を進めると、

  • 肥満(特に内臓脂肪蓄積型肥満)

  • インスリン抵抗性

を有する人ほど、糖尿病や脂質異常症、高血圧の合併リスクが高いことがわかりました。


図3 メタボリックシンドローム発症のメカニズム(イメージ図)

  1. 内臓脂肪蓄積

  2. インスリン抵抗性

  3. 高血糖・高血圧・脂質異常症 の合併 →

  4. メタボリックシンドローム と診断


現在では、内臓脂肪蓄積に加え、上記のうち2項目以上を合併する状態を「メタボリックシンドローム」と定義します。
この状態になると、脳卒中や心筋梗塞などの血管イベントリスクが 2〜3倍 に増加することが示されており、将来の健康予後を左右する重要な疾患概念です。