F-nameのブログ

はてなダイアリーから移行し、更に独自ドメイン化しました。

心理査定の中のイメージ(臨床心理面接特論(2)第6回)

結局は自分の経験の量が、他人の経験を読み解くには必要になるのかもしれない。

 

心理査定とイメージ。心理アセスメント。投影法、質問紙やテスト、観察などによって心の有り様を見立てる。イメージ。箱庭を作ったり絵を描いたり、表現療法でよく使われる。イメージ表現。この2つは臨床心理学の中では別々のカテゴリー。心理テストや心理療法セラピーに関する。決められた刺激からの反応。イメージ表現はクライアントが自由に表現。対極なニュアンス。しばしば相容れないものと考えられている。本当に相容れないものであるのか?それらに共通する営みを考える。クライアントの心を充分に理解出来る眼差しを持てる?心理査定の中身もイメージ表現のプロセスが。イメージ表現の中にも心理査定の要素が。
イメージのパラドックス。通常イメージという言葉で理解していること。なんとなく違和感なくわかる?一筋縄ではいかない複雑なもの。イメージ療法、表現療法。イメージが表現された、という使い方。違和感を持つ人も居ない?事例報告によく用いられる。イメージが表現されたとはどういうこと?どういうプロセス?心の中にもともとイメージ、映像があって、それが外に出てきた、というプロセス?イメージを表現するには試行錯誤の過程が。心でハッキリとしてなかったものが表現を通して形をなしてくる。クリエイティブなプロセス。創造のプロセス。より一般化して。曖昧な動くイメージのプロセス。目に見えることが出来る訳ではない。素材や物を通してそれらに託すしか表現できない。心の中のイメージを託す物はイメージそのものではない。差異がある。心の中のイメージを表現する。変容していく。物に出会うことで触発されて形になる、相互作用。イメージが形成され表現される。イメージが表現されたということは単純なものではない。
夢。臨床心理面接でも重要なテーマ。イメージの最たるもの。夢のプロセスの中にあるイメージの表現過程。クライエントがこんな夢を見ましたと報告。そこに至るまでにどんなプロセスがあるか。夢を意識で捉える必要がある。全ての夢が意識に残る訳ではない。消えてしまったり、覚えていても薄れていったりする。夢が意識に捉えられるプロセスの1つのハードル。次は言葉で表現を。落とし込むのも難しい。睡蓮をいじっている。枯れそうなので大切に扱っている。大型バスがバックして水場を潰すので逃げる。言葉で夢を報告。大型のバスが後退して、視点が見下ろすところに変わった。一瞬の内に。俯瞰する視点に自然に変わっている。夢の展開は突然に、実は、気がつくと、などと説明しなければならない。言葉で表現する。意識に捉え言葉に落とし込む。夢というのは心の中で動くイメージと違ったものになる。報告までに2つの段階を経ているということ。箱庭に似ている。組み合わせて形で表現。言葉が持つ制約性や性質に従わざるを得ない。夢の変容。箱庭でイメージが動くのも同じこと。1つの創造的なプロセス。
河合隼雄「イメージの心理学」。3つの意味。イメージの体験そのもの。イメージの表現。内在化されたイメージ。イメージの体験そのもの。心の中で動いているイメージ。意識に残らずで忘れてしまうようなものも。表現されたりする前の。それそのものに到達することは出来ない。イメージの表現。体験を言葉に。アイテムを使って表現。心の中のイメージが外側に表される時に変容する。相互作用しながら。内在化されたイメージ。外側に表現された箱庭の作品、描かれた絵。外側に表されたイメージ。
イメージを表現するプロセス。外側の物の制約だけではなく、社会的な制約もある。とても口に出して言えない夢も在る。そもそも報告がされない。意識に残ったとしても言いたくなかったり、関係性の問題も在る。箱庭の表現過程を見守る人。レギュレーションが働いている。これは止めておこうと思ったりする意識や無意識の働きが。イメージの表現。物との制約や社会的な制約も。不自由な制限の中をかいくぐって表現される。
逆のプロセス。表現された内在化されたイメージをそのように味わうことが出来るのか?心の有り様に触れることが出来るのか?難しい問題。出てきたイメージからわかることもあるけれど。表現されるまでには色んな制約が。対話を通してイメージは変容し新しいものが出る。心の中のイメージそのものではない。ではどうやって心の有り様に触れることが出来る?心の中のイメージ。変質して表現。様々なプロセスを読み解き、制約を取り除いて復元する。フロイトの夢分析。偽装を、トリックを使われているから取り除いて接近する。強ち間違いではないが。大きな過ちがある。外に表現されたものは偽物という発想に立つ。努力してイメージを表現して内在化したのが嘘?価値はない?ある意味転倒した考え。努力して作られた芸術作品。偽物であるとは言えるのだろうか。表現されたもの、内在化したものを大切にしてイメージを味わって心に接近する。どんなプロセスが生じるか。箱庭の作品。どんなことを表現したか考える。私たち自身の心のイメージが動き出している。内在化したイメージをキッカケに動き出すプロセス。私たちが1つのクリエイティブな過程が。クライエントの元々のイメージが伝わっているのかは分からない。こうしたパラドックスを乗り越える為に。相手が表現した元のイメージそのものに直接到達することは出来ないけれど、表現者がそのイメージに取り組む努力は直感的に把握出来るのでは?間接的に触れられることが出来るのでは?子供期から青年期にバイオリンを。バイオリンを弾くのが30年ほどストップしていたが、数年前から弾くようになった。演奏家が込めた心のイメージがよりハッキリと分かるようになった。音楽の聞き方味わい方が変わってきた。自分で弾き始めると、このように表現しようなどと、自分の心の中のイメージを出そうとする、それがあると自分での努力のプロセスを体験している時は、演奏家の努力が伝わってくる。能。研究をする機会が。能楽師と会ったり稽古したり。見えるものが一変する。努力を通じて心の中の動きがわかる。表現が伝わってくる。表現者のイメージが伝わってくる。内在化されたイメージにある息遣い、表現する行為、努力や姿勢を感じる。そのことを通して表現者が向かい合おうとしているイメージに触れ想像することが出来る。箱庭からのイメージ。自分も箱庭を作った体験を。夢のイメージを。自分が夢分析を受けた表現を。自分も心理面接を受けるという経験を。相手の取り組む姿勢が、イメージが体感できる。
イメージを3つに分けて論じてきた。同様の努力を。心理査定の中でも同様のプロセスが。検査を受ける方が反応を、テスターが読み解く。そうしたプロセスの中で。ロールシャッハ・テスト。蝶々という反応。心の中の動き。飛行機や葉っぱなど。イメージ体験そのもの。どんな努力が必要か。素材が物に該当する。イメージを落とし込む。心の中のイメージ体験。風景構成法。アイテムから触発するイメージを。物の制約性の下で。ナイフのイメージが強すぎる場合は?多様性が無い?心の中のイメージが強すぎる場合、貧困になる。他の人には了解し難い。形態水準。図版の性質を適切に使用しながら反応が出せるか?イメージで覆い尽くすことをしないで。物と心の対話。投影法やバウムなどの描画法。必ず検査者が立ち会って。対人関係の中で、社会的制約の中で。敢えてそれを表現する表現しない。イメージ表現のプロセスがわかるためには体験しておくことが必要。投影法や描画法を読み取るためにも。自分自身が経験するということ。

 

臨床心理面接特論〈2〉心理療法の世界 (放送大学大学院教材)

臨床心理面接特論〈2〉心理療法の世界 (放送大学大学院教材)