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心理学的な「ものさし」をつくる -尺度構成-(心理学研究法第10回)

おっしゃるとおり、エセ科学がかなり蔓延しているというのは同意できる。きちんと概念が吟味されているかどうかは唾を付けて読むことが必要。

 

田中俊也。心理学的な物差し。実験や観察、面接や質問紙。探り出したい心理的現象。実体の1つ。誰もが存在するのは認めるがとらえどころのない実体。構成概念。心理学の殆ど。測るに相応しい物差しを作ることは重要。自然科学との違い。自然科学では測定道具を当てはめれば自動的にデータが返ってくる。心理学研究では違う。観察者が観察対象に。質問紙。測定道具として元々存在しているのではない。データも自動的に得られるものではない。表象、イメージ化して表出。それで初めてデータが得られる。想定された構成概念を測定する物差しを作ることは重要。最も創造的な。尺度構成。
新しい心理学的物差しを作成する。6つのステップ。全体の流れ。研究しようとしている構成概念の吟味。測るに相応しい質問項目を。調査票の形にして予備調査を。回収されたら分析。質問項目の吟味。物差しのcheck。信頼性と妥当性を。使える物差しとしての新たな構成概念。自尊的な感情を持っている?自尊心の高さを測る物差しを探す。生徒の持っている感情を自尊感情で表す。存在そのものを共有できる理論的概念、構成概念。物差しづくり。概念の持つ様々な意味の吟味。自分を尊重。自分に価値を見出す。悪く思わないこと。必ずしも他者と比較して良い悪いとは思わない。事例や特徴を吟味。潜在変数。具体的な特徴として現れるものを観測変数と呼ぶ。項目を取り出す。物差しづくり。項目を集めて回答の形式を決める。様々な資源がある。自分自身の経験や知見から吟味。同僚同士で出し合う。関連する既成の尺度、それで用いられる項目を援用。引用元に断りを入れる必要がある。それに違い概念を想定して、そこから出てくる観測変数を。観測変数としての項目を溜め込む。項目の表現形式と回答形式の吟味。分かりやすく明瞭に。1つの項目に2つ以上のダブルコーディングをしない。いわゆる量を示す言葉や抽象表現は避ける。意図を悟らせないように逆転項目の設定も。構成概念を表現した項目。項目が決定したら回答の形式を決める。二点法。三件法。五点法。七点法。いいえからはいへの連続性。分散を確保。予備調査表の完成や実施。予備調査では選択された各項目と既存の心理尺度から尺度を選択して1つの質問紙に入れる。構成概念妥当性の検討のため。多くなりすぎて負担が大きい場合には項目の挿入は別にしたほうが良い場合も。調査の規模。非調査者数。出来れば300、400くらい。適用しようとする群と同質であることを。本調査と調査範囲を被らせない。有効被調査者の確定。ふざけた反応も。反応歪曲。項目の精製。どの項目が構成概念を代表したものかを。全員が1や5であった場合、説明力を持たない項目は除去。天井効果。computer利用で統計パッケージを利用して比較的容易に。
実際の研究を通して確認。大学生の持つ卒論に対する態度の尺度構成を。手順で振り返る。構成概念の吟味段階。卒論に対する態度という構成概念。認知行動衝動からなる態度。極めて一般的な捉え方。項目の採集と回答形式の決定。13の先行研究を選定して適用可能な340項目以上を採集。反映したものか、文脈に当てはまるか。通じない項目などを除外し102項目に。卒論や卒論指導を文頭に加えたりしながら削除。最終的に仮の尺度を92項目。合計95項目を。3点法。完成した調査票を492名の大学生に。回収されたものの非調査者の確定。398名のデータを有効と。天井効果と床効果の排除。84項目398名のデータを因子分析。因子構造を探る。探索。84項目について。各因子に寄与はしているが負荷が小さいものを。全ての因子負荷が。最終的に45項目5因子での。尺度の構成。新しい物差しの誕生。大学のWEB上の自己判断ツール。
尺度構成の過程で重要となるのは、信頼性や妥当性があるかの吟味を。まず信頼性について。自然科学で用いられるには安定した結果が期待できる。信頼性。測定する対象の真の値の分散。信頼性係数。測定時の誤差はゼロであるのが理想的。信頼性係数は1。複数の項目がある場合の定義。同じことを測っている、内的整合性。アルファ係数。構成する観測係数の合計を分散。項目数。相関係数の平均。統計ソフトによっては削るとシミュレーションを。尺度構成の最後。妥当性の検討。ある測定道具はどれほど適切に測っているか。道具の妥当性は自然科学では殆ど疑われない。身長の値。その際でも誤差が混入する。人によっては前かがみになったりかかとを上げたり。ランダム誤差。測定道具の信頼性が高いとランダム誤差は低減される。信頼性はランダム誤差の量に反比例。測定道具そのものがバイアスを抱えている場合。非ランダム誤差。常に2キロ少なく体重計が表示。したがってそもそも一致することはありえない。測定道具の妥当性の問題。適切に測定していない。自然科学では最小になるように設計された測定道具が。保障が得られる。それに比べ心理学では妥当性の問題は深刻なもの。
心理学や社会科学での検討。内容的妥当性。基準関連妥当性。構成概念妥当性。心理尺度を構成。内容的妥当性。国語の力を占める。漢字の読み書きだけでは欠けている。熟知した専門家によるcheckを。構成する前に事前に。構成した尺度を実際に当てはめる。主要な2つの妥当性吟味。変数間の相関変数で示される。基準関連妥当性。構成概念から生まれた観測変数。直接的に反映しているか。先の卒論に対する態度の尺度。明確にやる気の尺度だとすれば、外部基準。評定点。その尺度が後のパフォーマンス。予測的妥当性。TOEICのテストの得点。併存的妥当性。尺度の得点と外部の一定の評定店の関連。構成概念妥当性。どの程度適切に測っているか。ターゲットとしたものを如何に測っているか。外部のある基準。そもそも構成概念から取り出した新たな物差しと密接な関連があると想定される得点とがどの程度関係しているか。新たな物差しと既存の物差しの相関係数の高さ。自尊感情。学校での活動性が高いことを含む。校内活動性尺度。高い相関があれば自尊感情尺度は高い構成概念妥当性を持つ。
心理学の研究対象は構成概念。何とか触れようとして尺度構成を進める。道具作りは1つの不可避な要件。computerの普及。手間は格段に省力化。一定の教育を受ければ物差しづくりに取り組める。学会誌には物差しが掲載される。6巻にも「心理測定尺度集」。自分の研究目的の尺度、なければ新しく作る。尺度構成の過程を踏まえておくことは心理学の重要部分を。構成概念の吟味が重要。科学的手続きを経て。ピッタリの物差しがなければきちんと構成することが。尺度構成の形成の過程が重要。手順を踏むことは、2,3人に話を聞けば済むというエセ科学ではないという強烈な主張に。学問としての心理学の基盤を盤石にする。

 

心理学研究法 (放送大学教材)

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