F-nameのブログ

はてなダイアリーから移行し、更に独自ドメイン化しました。

離婚慰謝料の基準と裁判例の解説(人生100年時代の家族と法第4回)#放送大学講義録

慰謝料の金額については、多いか少ないかは議論の対象になるだろう。まあ500万円でも大金だと思うけれど。

 

-----講義録始め------

 

さて、ここからは4つ目のテーマである慰謝料についてお話しします。

離婚に伴う慰謝料は、理論上、離婚原因となった個別具体的な行為、例えば暴力や不貞行為などによる精神的苦痛に対する損害賠償の意味と、離婚によって配偶者の地位を喪失するという精神的苦痛に対する損害賠償の意味に分けることができます。

ただ、実務上は両者をはっきりとは区別せず、総称して離婚慰謝料と呼んでいます。裁判例では、離婚慰謝料の金額は50万円から500万円程度の範囲で認められることが多いようです。慰謝料の金額は、婚姻期間、支払い義務者の収入や所有財産額、婚姻破綻に対する責任の程度などによって算定されます。

もっとも、離婚裁判のすべてで慰謝料が認められているわけではありません。婚姻破綻について、夫婦の一方だけに明らかな責任があるとは言えない場合、例えば性格の不一致を基礎として夫婦双方が婚姻破綻に至る原因を作った場合などでは、慰謝料請求は認められていません。