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介護食需要とスマイルケア食基準(食と健康第15回)#放送大学講義録

ーーーー講義録始めーーーー

 

介護食品のニーズ動向と共通企画基準

高齢者と要介護・要支援認定率の推移

下表は、65歳以上の推定人口と、要介護・要支援認定者数および認定率の推移です。

年度 65歳以上人口(推定) 要介護・要支援認定率
2013年 約3,190万人 18.3%
2035年(予測) 約24% (約4分の1)

2035年には、高齢者の約4分の1が要介護または要支援認定を受けると予測されており、嚥下障害・咀嚼障害のある高齢者向け食品の需要が一層高まる見込みです。


「スマイルケア食」による共通企画基準

農林水産省が提唱する「スマイルケア食」は、高齢者や障害者向け食品の共通企画基準です。

  • 黄色マーク:「かむことが困難な人」向け

  • 赤色マーク:「飲み込む(嚥下)が困難な人」向け

と区分されており、赤色マークの製品は、健康増進法に基づく**特別用途食品(嚥下困難者用)**の許可を取得しています。

嚥下困難者用食品の物性基準:

  1. 硬さ(硬度)

  2. 付着性(粘着性)

  3. 凝集性(まとまりやすさ)

これら3つの物性を評価し、基準をクリアした製品だけが「嚥下困難者用食品」として表示可能です。


嚥下・咀嚼困難者向け食品の普及

高齢者の増加に伴い、咀嚼・嚥下機能が低下した人でも安全に食べられる食品が求められています。共通企画基準に沿った製品を普及させることで、利用者が選びやすく、使いやすい食品が広がることが期待されます。

嚥下しやすい食品例

  • ゼリー食(一定の形を保ちながら容易に崩れる)

  • 魚のすり身ペースト

  • とろみをつけたシチュー

  • ペースト状のバナナ

これらは、「適度な速度で咽頭に移行し」「喉の筋肉の動きと連動して食道へ送られる」物性を備えており、嚥下困難者でも安全に摂取できることが特徴です。