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母乳の完全栄養性と乳糖代謝(食と健康第1回)#放送大学講義録

ーーーー講義録始めーーーー

 

母乳の「完全栄養食」とその仕組み

哺乳類である私たち人間が生まれて最初に口にするのが母乳です。母乳は新生児の急速な成長に必要なすべての栄養素を、理想的な割合で含む「完全栄養食」と言えます。


母乳の成分は母親の血液から

  • 母乳は**母親の血漿(血液)**を元に生成されます。

  • 血液中のグルコースをはじめ、脂質、たんぱく質、ミネラル、ビタミンなどが、乳腺で加工・分泌されます。

乳糖(ラクトース)の特徴

  • 母乳の主要な糖質は**乳糖(ラクトース)**で、グルコース+ガラクトースからなる二糖類。

  • 砂糖(スクロース)の甘味を100とすると、乳糖の甘味は約**30~40%**程度。やさしい甘さです。

  • 乳糖は小腸に存在する酵素ラクターゼで分解され、グルコースとガラクトースに分かれて吸収されます。

  • 新生児期はラクターゼ活性が高いため、母乳中の乳糖を効率よく栄養源として利用できます。

授乳と次回妊娠の抑制

  • 授乳時には、乳児の吸児反射→脳下垂体からのプロラクチン分泌→乳汁分泌増加、というフィードバックが働きます。

  • プロラクチンには排卵抑制作用もあり、授乳中は次の妊娠が遅れるメカニズムになっています。

離乳と乳糖不耐症

  • 離乳とともにラクターゼ活性は徐々に低下し、成人の多くは乳糖不耐症(ラクトース不耐症)となります。

  • 特にアジア・アフリカ系の成人に多く、欧米の白人では比較的少ないと言われています。

  • 成人では母乳を必須としないため、乳糖不耐症になっても生理的に大きな問題は起こりません。